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ピカソ

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キュビズムの本質 植村鷹千代  世界の美術 ピカソ 河出書房 1963の続きです。

 こう考えてくると、歴史が20世紀に進み、20世紀は19世紀とは別のスタイルをもつ現実になっているにもかかかわらず、画家たちは依然として19世紀の目でものを見、19世紀の法則を権威として表現していたということになる。つまりピカソは、スタイン女史がいうように、リアリストで、現実をみたままに表現したのだが、彼の偉大な直覚力は、他人がまだ19世紀の古い視覚で現実を見ているときに、現実を、もっとも現実に密着した目で見たことである。
 スタインはこの点に関してさらに面白いことを書いている。すなわち「イギリスのグレイ卿は大戦中に次のような興味ぶかいことを言っている。
"将軍たちは、戦争の兵器が20世紀のものなのに19世紀の戦争思想をもっていた。そして戦争が最高潮に達した時になってやっと、これが20世紀の戦争であって19世紀の戦争でなかったことを理解した"と。ー
こういうわけで、戦争のために現代人たちはキュビズムの認識を強いられたのであったが、それはピカソによって創造されたものであり、且つそれは、19世紀のヴィジョンでない現実であった。戦争は人々に万物が他のものに変貌し、すでに同じものに止まっていないことを理解させた。この考えの変化が、キュビズムの作品の理解を容易にするだろうし、またその後のピカソ芸術の変貌についても、同じ見方で接近できるのではないかと思う。

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ピカソはリアリストで、現実をみたままに表現したのだが、彼の偉大な直覚力は、他人がまだ19世紀の古い視覚で現実をみているときに、現実を、もっとも現実に密着した目で見たことである。

直覚力ですか。そうだったんや。リアリスト。

戦争は人々に万物が他のものに変貌し、すでに同じものに止まっていないことを理解させた。

ピカソの「19世紀のものではない新しい変化」を受け入れさせたのは 第二次世界大戦での兵器の変化であり 図らずも人々が新しい変化を受け入れるということは そういうことでもあったんですね。 軍艦から飛行機へとか 原子爆弾とか人々は身にしみてリアルにその変化を目にしたということなんですね。
芸術家は なにかを感じていた。
現代でも 芸術家の表現のなかには 時代を反映したり 予想させたりしている そう思いながら見ていくのも 興味深いことかもしれませんね。
ピカソが「ゲルニカ」を描いたのは その変化の長いことかかっての経過のぴたーっと一致した表現だったかのも知れません。20代の時にキュビズムがはじまっていなければ ピカソも 「ゲルニカ」で、あのような表現はしていなかったのでしょうかね。

さいならさいなら


《 2016.04.02 Sat  _  1ぺーじ 》