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ヨーロッパからの手紙

フーフー通信 交野日記 1985 夫

「ヨーロッパからの手紙」の続きです。

 四月二十二日。今日も一日中歩きまわり、見てまわりしたのですが、もう足が棒のようです。とくに左の膝が痛くなって、なかばビッコをひきながらでした。いかにふだん足を使っていないかということの証明ですが、Uさんも同様です。印象派美術館のすぐ近くにあるオランジェリー美術館に行き、そのあとずいぶん歩いて近代美術館へも行きました。
オランジェリーはモネの睡蓮で有名なところです。前の旅行のときも一人で見に行った記憶があるのですが、この睡蓮の絵はモネ晩年の作品ですが、それにしても大変な大作です。
二つの楕円形の大きな部屋の壁に、六百から千号ほどの睡蓮の連作が八点。なんだか睡蓮にとりかこまれた不思議な空間に入ったみたいです。このオランジェリーでは、はじめてスーティンの作品もまとまってたくさん見ることができました。近代美術館では、カリエールの作品もかなりあり、いちいち描けばめんどうくさいほどです。
 それにしてもくたびれました。パリ到着来、歩いて歩いて歩きづめなんですから。帰りはメトロに乗って帰ってきました。買い物(いつものように、パンとワイン、チーズ、ジュース、かんづめ)をしてホテルに帰り、二人で食べて飲んでいると、ほっとしてきます。一日なんかしらんけど歩きまわったなあという安堵です。ベッドに入ると、体が布団(ここでは毛布)の中でとけてしまいはせんかと思われるほどです。あと一日パリですが、早いとこポルトガルのナザレという、のんびりした町らしいところで落ちつきたいものです。

***

オランジェリー美術館ではモネの睡蓮の絵を見ていますね。モネの晩年の作品ですが 「睡蓮にとりかこまれたような不思議な空間に入ったようです」と書いていますね。
そういう展示のしかたをする関係者の人もいいですね。
スーティンの絵も見たんですね。カリエールどんな絵を描く人だったかなあ。
ビッコをひきながらでも広い美術館を歩き回る。
それはパリでの滞在期間のこともあるでしょうが ほんとうに海外旅行では歩き回りますね。
 わたしは ゆっくりコタツに足つっ込んで画集を見たり読んだりすることのほうが好きです。こんなことをいうと「きみは本物のすごさを知らない」なんてことをいわれそうですが なんなんですかねえ このちがいは。一日のうちでも一刻一刻その陽の光りで色をかえていく 睡蓮のある池を おっかけ とらえようとするモネ 晩年だからこそ そのおっかけは(笑)すばやくなっている。その色ひとつ画面におくだけでも などと思いつつ
目で見て描く絵のことを基本とした人、自分もそうだったし、その色を出すのは容易じゃないことも よくわかります。そんなことを思いながら画集を見る。
夫の「ヨーロッパからの手紙」は自分のことも思い出させてくれるのです。

さいならさいなら
《 2016.03.14 Mon  _  思い出 》