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ヨーロッパからの手紙

フーフー通信 交野日記 1985

ヨーロッパからの手紙

 四月二十四日。今リスボン特急の中です。今朝九時にパリのオステリック駅を発車、二十四時間後の翌朝、リスボン着ということです。僕たちのコンパート(席室)には、兵役中(兵役は一年半ということ)の休暇を利用して僕たちのようにリュックかついでヨーロッパ中を旅行している二十一歳のドイツ青年、二十歳くらいの女の子(最初パリッ子かと思ってたらポルトガルに近づいてきたら、ポルトガル語を喋りだしたので故郷はポルトガルかも知れない)、ポルトガル人の牧師(この人は、はじめのうちしずかに分厚な本を読んでいたのですが、片ことの英語とポルトガル語とで、マダガスカル島での生活を三年ぶりにおえて国に帰るとのことがわかりました)、それから途中から、やっぱりポルトガルの中年男性が乗り込んできました。ここでは、フランス語とポルトガル語、そしてわずかの英語が飛び交う会話です。もっとも英語で少しの会話ができるのは、ドイツの青年と僕たちだけですが、Uさんはポルトガル語の単語を少し覚えていて、他の三人ともちょっとした意思伝達ができているみたいです。こんななかでは会話らしい会話はできないのですが、なんとなくみんな、ちょっとした共通の言葉が出るたびに、なごやかに笑い合っては気持ちをほぐし合っているのです。(リスボン駅に着いた時、無口だった牧師さん、僕たちに餞別までくれようとしたのでした。もっとも受け取る事はしなかったのですが)

***

餞別までくれようとした牧師さん 伝わって来るなあ。
こうした手紙は そのままがいいので これにて
《 2016.03.18 Fri  _  思い出 》