世界の美術 ピカソ 河出書房 1963
<肘掛け椅子による女>1937 油絵
ピカソ 植村鷹千代
スタイン女史の論旨は少し強調しすぎる点があるかもしれないが、彼女は、ピカソのキュビズムが頭で創られたものではなく、20世紀の現実を先入観や知識に邪魔されずにリアルにみた結果がピカソのキュビズムであったこと、ピカソは本質的にリアリストであり、不協和な現実をリアルに見る資質がスペイン人の生活感覚に幸い内在していたということを、賢明に強調しようとしているようである。それはキュビズムが、頭で操作する観念的な造型主義に誤解されることに対して、ピカソの創造したキュビズムはそうではない。それは目に見える20世紀の実態を表現したものであるといっているわけであり、さらに、頭の操作だけの造型主義に陥ったキュビズムの亜流を批判しているわけであろう。
もういちど言いかえるならば、ピカソ芸術の破壊的変貌は、彼が勝手に絵の形式を変えたのではなく、変わったのは現実であって、彼はその変化する現実をリアルに直視してそれを表現したのだと言おうとしているのである。これは正しい見方であろう。
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ピカソの破壊的変貌は、彼が勝手に絵の形式を変えたのではなく、変わったのは現実であって、彼はその変化する現実をリアルに直視してそれを表現したのだと言おうとしている。ーー
そうか、わたしは十代のとき ピカソのキュビズムとやらは多くの人がまねしてるなあと思いました。そういう絵を「新しい絵」と思い どこでもそういう絵があると 感じていました。この破壊的変貌というのは 上のような<肘掛椅子による女>ではないですよね。<ゲルニカ>とか。
スタイン女史はあのようにピカソの作品ことを評しました。表現は内にあるものが滲み出るといいますが 作者は評論家と同じくらい自分のことをわかっていたのでしょうか。今のピカソ論はどういうふうになっているんでしょう。
こうして ピカソのような絵を描いたんですね 多くの人が。
こんなに簡単そうに見えても、じつは複雑なんだよとか これはその頃の歴史と深いかかわりがあるんだと そんなこと考えたかなあ。
頭で操作する観念的造型主義ーー 多くの人がこんなだったんや。えっ私も観念的造型主義 ない頭で操作しながら やってたことあるなぁ。
「絵のスタイル」というような言い方 よくしましたね。
ピカソピカソとみなさんは退屈しましたか? いえね 私はよくそう思ったんです。
さいならさいなら