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かめのはなし

スキャン1987.jpegこのお話は1984年 私たち夫婦が「フーフー通信」を発行していたときのものです。
大阪の交野市に貧乏一家が そのわりには一軒家に住んでいましたが そんなときに夫のお父さんが 子供だらけの中にやってきました。近くの借家に義父が移るまで 7人と犬のミッキーと住んでいたことがあったのです。その頃のお話です。 はじまりはじまりぃ

 おじいちゃんが、カメを池からとってきました。
 フナつりにいって、このカメがひっかかってしまったのです。
 まごに見せてやろうとおもって、庭のタライの中に入れました。 まごは、カメをうまれてはじめて見たものですから、「手も足もあるさかなだ」とおどろきました。 おじいちゃんは、つりざおをたてかけながら、「これは、カメっていうものなのだ。しっぽだってついてるし、せなかはかたいこうらがついているだろう」といいました。
おじいちゃんがつってくるフナは、このタライの中で、一晩も生きていません。水がかわるため、みんな死んでしまいます。
「カメは死なない?」まごはタライをのぞきこみながらいいました。
「死なないよ。けいちゃんよりも長生きするよ」
おじいちゃんは、カメを入れたタライに、大きな石をひとつ入れました。 
まごは、どうしておじいちゃんがタライに石を入れるのか、ふしぎでした。
「カメは、この石の上でこうらぼしするんだ」
とおじいちゃんは、カメのせなかを、指をひろげてもち上げると、石の上にのせました。
カメは、あわてて、首をサッと、こうらの中に入れました。
「あっ、あっ」
まごは小さな指をさして、おどろきました。
「こうらの中にかくしたんだよ」
おじいちゃんは首のなくなったカメを見ながら、
「長生きのひけつかな」
とつぶやきました。「かむ?カメはかむ?」
まごが手を出したり、ひっこめたりしながら、おじいちゃんにききました。
「だいじょうぶだ。すっぽんじゃないから」
そういって、カメをタライから出して、まごの足もとにおきました。まごは、小さな長ぐつを、サッとひっこめました。だって、カメが長ぐつの上に小さな手をおいたからなんです。
「にげるよ、にげてしまうよ」
おじいちゃんは、まごのせなかをたたいていいました。 まごの手は小さいので、おじいちゃんのように、こうらをヒョイともち上げることができません。
「こわい、こわい、おじいちゃんつかまえて」
カメは花畑の中へごそごそ入っていきます。 おじいちゃんは、また、大きな手をひろげて、カメのせなかをヒョイと持ち上げました。 カメは、タライの中では、じっとしているのに、外に出すと、帰る家でもあるかのように、トコトコ歩きだします。
まごは、ふしぎそうに、もういちど、タライの中でじっとしているカメをのぞきこみます。 こんなふうにして、おじいちゃんは、自分の家に、つりざおをさげて帰り、まごは、かめのこともわすれてねむりました。

***

なつかしい 思い出のお話ですね。おじいちゃんはフナを釣ったり 川えびをとってみせてくれたりして まごや私たちを楽しませてくれました。私たちが住んだ大阪の交野市というところは 自然に恵まれたところで カメや魚やウシガエルなどがいました。ザリガニや沢ガニもね。かい犬のミッキーはこのおじいちゃんが大好きでした 散歩に連れてってくれるしね。 そしておじいちゃんもミッキーにあうのが大好きでした。うちのだれよりもおじいちゃんを歓迎してくれるのが ミッキーだったからでしょう(笑)。
しーちゃんからの里帰り「フーフーどうわ」からです。

《 2016.02.12 Fri  _  思い出 》