NEKO美術館 成瀬憲子

KURATAさんの作品

ブロンテ姉妹の話の時に　養老孟司さんともう一人の年配の方の対談をテレビで見たことを思い出していたんです。お二人はたしか宗教の話をしてたんです。無宗教ですと向こうの人に聞かれると答えてしまう日本人のこと。そうすると向こうの人はとても驚くそうですね。そこから話は続いて行くんですが　うまくいえないので　やめときます　そんなふうになるのが私の常なんですが　これじゃあテレビで聞いたことにはなりませんよね。

「コーヒーorティー？」と向こうの人は先ず聞くのですが　これは「それを考えるのはあなたですよ」というけっこうおしつけなんだという話がこの対談の中でぽっと出てきました。私はこれを聞くまで　コーヒーを飲みたくない人もいると思うから　さすが自由の国やなあなどと思っていたんです。それで家にきた人に「お茶にしますかそれともコーヒー？」などとよろしくやっていたんです。そうすると「どちらでも」という人が案外多いんですよね。「やっぱり日本人ははっきりせえへんわ」と思ったりしてね。そうして　今ごろは　「レディーファウストったって　安心してついていったら　その奥はけっこう窮屈な難題ふっかけられたり」

と自由の国のことは　都合いい所だけ信じてみる私なんです。

ところが　日本人のこのKURATAさんの絵は　上に書いたようなこと忘れさせてくれるというのか。キリストにまつわる　天使さんたちのなかには　こんな物語をもっていて　そこにいるとなんやほんわかする　そんな感じ。ここまで書いてきたんですが　KURATAさん　これはそういうところにむすびつけるような絵じゃなかったですか？

自由の国もちがう？民主過ぎちゃう民主主義でしたっけ？

頭が疲れるといけません　ほんとはこの絵にはそんな言葉はいらんのですよね。