あのね
わたしは リュックをせたろうて
あるきます
それがどうした ですが
ずりおちそうな 若者の あのリュックじゃないですよ
それに 若者のリュックのなかには なんにも入っていないみたい
わたしのは 薬も(年寄り用です) 水も あめも ちりかみはんかちも
いっぱい はいっています
なんて重たいの ときどき 思います
月夜の晩にね
いずみのところで さーっと カーテンひいて
わたしは 「月がかけましたぁ」とおおげさに 叫ぶんです
いつもの ひとりしばいの 練習ですよ
そして 若者にあの ずりおちた リュックを せたろわせて
トム・ハンライヒの音楽で
ヴィム・ヴェンダース この人は どうするんだっけ?
ピナ・バウシュ 「ピナ おどりなさい じぶんでありつづけるために」
Pina ダンスダンス
「ずりおちた リュックは そのとき 似合うかもしれないんです」
また わたしが おおげさに叫ぶんですよ
月夜の晩にね