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死に甲斐

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『現住所は空の下』 高木護著 未来社 1989       

死に甲斐

 人間とはなんだろう。わたしとはなんだろう。この世になんのためにうまれてきたのだろう。生とはなんだろう。死とはなんだろう。しあわせとはなんだろう。生き甲斐とはなんだろう。ぶらぶらとはなんだろうーと、わたしはぶらぶら歩きながら、何百ぺんもつぶやいてみた。問いかけであったが、だれもこたえてはくれなかった。
 考えてみると、この世の生きもののうちで、人間たちだけの世界には運、不運がある。めぐまれている者と、めぐまれていない者とがいる。何事も差別だらけで、不公平だらけである。学歴なしとか、不器用とか、才覚なしとかいった理由により、一生下積みの暮らしを余儀なくさせられている者たちもいる。中にはしょうじきに、まじめに努力さえすれば、そんなことはないという仁たちもいるが、うそこけ!そいつらはうそつきでなかったら、よほどめぐまれているか、学歴ありの人たちであろう。
 私みたいな生まれも育ちも悪い、無能で不器用で、下積みになるためにうまれてきたような者はどうすればいいのか、とぶらぶら歩きながら考えてみた。まず空気と水と緑に感謝しよう。人並みとか、一人前とかいうのはだいそれたこと。なろうと思わないことにしよう。何事にも降参、諦めることにしよう。一日に一回、今日もいいことがありますようにと祈ることにしよう。何もいいことがなくとも、いいことがありますようにという思いだけは残るだろう。一日一回はしあわせだと思うことにしよう。しあわせはしあわせだという思いから、うまれてきそうだからである。一人なら食い物でもなんでも一人分でいいはずだから、一人分の欲を出して、その日くらしを心がけることにしよう。銀行でもどこでもいいから、一億円の終生定期預金ありと思うことにしよう。一生遣わないお金なら、一円の預金なしと同じことだろう。

***

突然ですが 本にはからだや頭やきもちに効く本があると思うんですが。
高木護さんの本は そんな本です 私にとって。
なぜか しっかりとは言えないんですが そうなんです。
いつか しっかりと言ってみたいですけど。
息苦しくなって どうにもならないと感じたとき 
「だれか その本 とって はやくはやく どうしてもどうしても」
そう叫びだしそうな 本なんです。

さいならさいなら つづきは今度
《 2015.10.18 Sun  _  1ぺーじ 》