のりこザウルスの冒険じゃない一生
一億5千年前だったと思うんですが のりこザウルスは 歩いていました
裸子植物やシダ植物の生い茂る中でね。
そのころ 彼女は進んでおりまして アクセサリーを作っておりました。
そのアクセサリーは恐竜用なので(お得意様なんです)巨大でダイヤやサファイヤやエメラルドのでかいのがごろごろついているようなアクセサリーでした。そういん石などもね。
ところが 宇宙のどこかのいん石 それも巨大ないん石が 地球に落ちてきてしまったのですよ。 びっくりなんてものじゃないですよ。びっくりするまえにみんなバタバタ倒れて その噴煙で しばらく地球は 真っ暗でした。
そういうわけで しばらくして 地下から出てきてみると 巨大アクセサリーの遺跡 化石がのこされておりました。
のりこザウルスがなんで生き残ったのかと申しますと エメラルドを探しに地下深くもぐっていたからです。
「おおこの惨状は!」外に出てみたのりこザウルスは言葉を失うほどでした。
それからのりこザウルスはどうしたのか お得意様もいなくなってしまいましたし やっぱり地底でくらすしかないということにしました。地底ではミミズ族やモグラ族やネズミ族がくらしていましたよ。
のりこザウルスはさいわい恐竜とはいえないほどちびでしたので 地上でのあのちびコンプレクスーもなくなり 幸いナリでした。
アクセサリーの夢はのこっておりまして こんどはちいさい生き物のためにそれをつくりはじめました。ミミズ族はとくにくびれとかがないので 全身にビーズをはりつけてみました。この世界で生き抜いていくにはつぶしがきかんといかんのです。
ミミズ夫人には網タイツのようなのも袋状にしてね。けっこうこれは色っぽいと ミミズ夫人がおっしゃいましたので ほっとしました。
ネズミ族は耳ピアス。いつもはよその壁に穴をあけてるくせに 自分の耳となると キーキー叫ばれるので それはこまりましたけどね。でも一回やると ほらもう片方の耳にしたいとか 調子に乗りやすいお客さんですね ミミズ娘は。
こうしてのりこザウルスはその一生を アクセサリーにささげたのでした。
年を取って 子どもはいませんでしたので ひとりで あの巨大な恐竜のことを思い出したり いん石落下の時のことを思い出したりして ゆり椅子で居眠りしながらすごしました。
ええっと こんな一生はどうでしょうか