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1ぺーじ

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コレクション『瀧口修造』1991年3月30日発行


この本ははじめてですね。
福島繁太郎の「印象派時代」やフエルナンド・オリヴィエの「ピカソの周辺」を連載させてもらってますが こうしてやってるうちに おもしろくなってきたのです。
きのう私は瀧口修造の本で「クレー」のところを読みました。
そして今朝のNHKの日曜美術館では「クレー」で栃木県の宇都宮美術館で「かくされたもの」だったかな やってるということでした。
私はいつものように「シンクロニシチー(またなまってる)や!」といいました。
「音楽と文化」河上徹太郎で 亡くなった音楽家たちがRosemary Brownnにその後の(死後)楽曲を見せに来るというのがありますが 画家だって この世にそういう風にやってきてもいいですよね(笑)。 クレーは彼の死後も そういうことをやりそうな画家ですねえ。でも音楽家のリストのように社交的ではないですが。
さあ いってみますか!


クレー(1879−1940)

 パウル・クレーは二十世紀の絵画に一つの生きた神話をつくった画家である。第二次世界大戦中に故国スイスでしずかに生を閉じたクレーは、まだ刻々に神話を作りつつあるといったほうがふさわしいかも知れない。
 戦後ようやくクレーの画集や評論が相次いで現れ、その影響も国際的にひろまっているが、まだクレー愛好者の渇きを癒すような伝記、とくにナチスのドイツから追われたのちのベルンでの晩年の消息はほとんどつたえられていなかった。しかし1954年、戦前からクレーの親友であり解説者として知られていたウィル・グローマンの浩()な評伝が、独、英、仏語版でそれぞれ刊行された(印刷はスイスとドイツとでなされている)。この本はクレーの生前から計画されていたもので、図版の選択などもクレーみずから当たっていたようである。またグローマンは執筆に当たって、多くの未公刊の手紙や日記やメモ類をも参照している。この種の記録はいずれ刊行されるだろうが、グローマンの序文にもあるように、文中に言及された人物の生存中に刊行されない性質のものもあるらしい。いずれにしてもこの書は当分、作品系列の解説についてのみならず、クレーその人の伝記としても決定版的な位置をもつものと思われる。ここではグローマンの評伝にたよりながらクレーその人との素描をこころみようと思う。しかしながらクレー自身も「ファン・ゴッホやアンソールのような作家の性格の問題と取り組むのはまことに魅惑的なことであるが、伝記があまりにもその芸術と混同されていることが多い。これはつまり文学者である批評家の誤()である」(1909年の日記)喝破(かっぱ)しているように、かれの芸術を理解する鍵を私生活のロマンスにもとめようとする穿さく好きの人は失望せざるをえないだろう。というのは、クレーの私信、つまり学生時代に両親にあてた手紙や婚約者に対しての手紙でさえも彼の私生活の内部にはほとんどふれず、かれの志向する芸術のことのみを論じているのである。(ただわずかに例外なのはミュヘンの美術学校時代で、稀に当時の不幸な恋愛問題や同時代への無遠慮な意見が披瀝(ひれき)されているといわれる。
しかしクレーの無口は手紙や手記の上にも特徴的に現れていて、たとえば1912年にパリで会って色彩と光の問題でおおきな影響をうけたロベール・ドローネや、三十年間の親友であったカンディンスキーについての意見も見当たらないし、クレーにとって非常に興味深い出会いの相手であったストラヴィンスキーとリルケについても何もふれられていないという。また女性の名前もほとんど現れず、したがってクレーと夫人との間についてもこの種の資料からはまったく知ることができないのである。これはかれの性格そのままの現れで、別に用心深さからの沈黙ではなかった。こうした点は徹底していて、第一次大戦中の手紙にはほとんど戦争そのものについても、かれ自身が軍務に服していた事実にさえふれていないという。

***

いやあ クレーという人は無口な人だったんですねえ。
ナチスの時代ですから 無口になるのはもしかして当たり前かと思っていたんですが そういうことでもなさそうで。でもフエルナンド・オリヴィエにしても ピカソの周辺の芸術家たちのこと画商のこと いっぱい書いてくれたから 興味深く読ませてもらってるんですが。「絵のことしかしゃべらんで」といわれると 「ちょっと」と思わないでもありませんが 絵に語らせようというのは また神秘的といいますか クイズ的といいますか。
「それより作品をみてくれよ!」画家はそういうこと案外思いますよね。そうだそうだ。ピカソだって ピカソを知る人がピカソの性格なり 女関係をしゃべったり書いたりしますが 本人は絵で勝負してる。しゃべりたくないことまでしゃべってくれるのはまわりですよ きっと(笑)
日記かいてますよね クレーは。絵のことだけか。(何を期待してるのよ)

つづきます。さいならさいなら


《 2015.07.26 Sun  _  1ぺーじ 》