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『ピカソとその周辺』フェルナンド・オリヴィエ著 佐藤義詮訳の続きです。
きょう駄菓子屋に集まるこどもらや若い子たちのことを24時間追ったドキュメンタリー番組を見たんです。そこには話しやすそうなお姉ちゃんがいて そこにいつまでもいててもいいような場所。
いろんな子と遊んだこととかお姉ちゃんとしゃべったこと けんかしたことなんかが 大人になっても思い出としてしっかりと残りそうな。
「ピカソとその周辺」もこういうのの「芸術家版」やな とくつけてみるのはおかしいですか?

さあいってみましょう。


ルソーの家

 あるよい日に、私たちは税関史ルソーと知りあいになった。彼の夜会に招かれていたアポリネールが、私たちを一緒に連れて行こうと言い出した。
 この税関史は、ヴェルサンジェトリ街近くのアトリエ風の部屋に住んでいた。
 いくらか猫背で、歩くというよりむしろ、ちょこちょこ走るといった感じで、65歳にもなっていながら、まだ房々とした灰色の頭髪を蓄え、小年金生活者らしい物腰をしたこの愛すべき人物は、そのおどおどした面上に、善良そうな表情を浮かべていた。彼は反対されたりめんくらったりすると、たちまち彼の顔に紅がさすのだった。彼は大抵、人の言うことはなんでも同意するのだが、実は遠慮していて、自分の考えを思い切って言い出さないのだということが感じられるのだった。
 九時頃、わたしたちが彼の家につくと、二組か三組の晴衣を着た夫婦連れが、まるで講堂のように、列を作ってくっつけて並べられた椅子に硬くなって控えていた。その連中は町内のパン屋だの、食料品屋だの、肉やだのだった。奥に演台があった。
 おいおいとお客がやってきた。混雑を避けるために、ルソーは来客を到着順に席につかせた。彼はまるで劇場の女案内人のように、入り口の近くの椅子に控えていた。客が全部そろうと、会が開かれた。
 そこには画家だとか文士だとか俳優だとかの芸術家たち、ピカソ、デュアメル、ブランシュ・アルバーン、マックス・ジャコブ、アポリネール、ドゥロネイ、数人のドイツ人が、町内の商人たちやルソーの詩的な友人たちと入り混じっていた。突然ルソーが演台に上がって、会を開くためにヴァイオリンの小曲を演奏した。それがすむや否や、いろんな人々がかわるがわる現れて、身振りよろしくおかしな唄を歌ったり、長ったらしい独白をやったりした。私たちがそこを辞し去るとき、ルソーは有頂天のご機嫌だった。
 「今夜の夜会は大成功でしたよ!」と彼は言った。

***

この善良そうなルソーはいまでこそ有名な芸術家ですが こうして読んでみますと いまでいうけったいな65歳のおじさんだったのですね。ヴァイオリンが演奏できたんですね。マックス・ジャコブやアポリネール、ピカソとオリヴィエもこのルソーの催す会に行きます。
税関史といういわばおかたい公務員のルソーは(公務員だったの?)私にはつかめそうでつかめません。画家達やマックス・ジャコブだって相当にかわっていますよね。
だいたいピカソの周辺の連中が善人そのもののルソーとそりがあうはずがないでしょう?
ルソーの周辺の人々は驚くほど ピカソ達とは違っていたのですね。でもヴァイオリンをひいたり唄を歌ったり、長ったらしい独白があったり 陽気な人々だったんですね。
この会の中に入り込んでみたかった?
「今夜の夜会は大成功でしたよ!」ルソーはどこまでもなんていい人なんだ!
次の時もルソーですよ。

さいならさいなら


《 2015.05.16 Sat  _  ちまたの芸術論 》