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おたより


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文体論パート3《「咲きましたな、すっかり」 先に湯ぶねにつかっていた老人である。春の日の暮れたばかりの宵あかりの中に湯気に霞んでひとりで楽しげに見える横顔であった。湯は自然石に囲まれて、谷川の縁にある。底も岩だ。湯の中に躯を伸して、じっとしていて、空に交わっている樹々の梢を眺めていられる。空はまだ暮れ残っていたが、樹蔭の谷はもう暗い。咲き初めた桜だけが、流れの音の中に明るいのである。「一昨日あたりは、まだ蕾が固くて、なかなかのように思われましたが」「咲き始めると、すぐで御座います」おだやかな挨拶で、老人は、思わず目をあげる。「山国ですから、雪が消えると、間もなく梅、それから、すぐに桜で御座います。それも、ほんの、二三日陽の暖かい日が続きますれば、おやと思う間に、村中が花になります」若い男である。この辺の農夫かと思われる色の浅黒い、見事な体格に土の香を漲らせた男であったが、よく見れば、顔立ちも引き緊っていて、瞳の色が涼しい。「どちらから、おいでになりました?」「手前?」老人は、銀のような長い髯の
ある顔を手拭いで拭って、「江戸で御座います。お手前さまは、こちらの?」「はあ。この村で御座います」こちらから何か尋ねなければ、口をひらかない。二人でいても、無言でいれば、ただ、すぐ下の川床を流れる水の音だけであった。そうしている間にも宵闇は次第に濃くなり、仰向いて見ると、暗くなった枝の網目の中に、水色の星が二つ三つ拾い出される。老人は、湯ぶねから出て岩に腰掛けていた。痩せて骨張っているが、筋肉のたくましかった昔がうかがえる。流れを見おろして、じっとしている姿に、どこともなく、威厳さえ漂って見えるのだ。》名文でしょう?昔の作家は大衆文学でさえ、この名文です。この作者名は難しいと思いますので、この老人は誰でしょう?がクイズです。みをぎ


みをぎさんおたよりありがとうございます。
クイズですね。 入学試験のシーズン、それにしても、日頃本を読まない私は東大文学部にはまだまだ難しそうですね。まだまだと思っているのだな(笑)
「咲きましたな、すっかり」と話し始めたご老人は、さてどなたでしょう。楽しげに見える横顔、この話はめっぽう明るい感じ。湯は自然石に囲まれて、これはちょっと昔の時代じゃないかな。樹蔭の谷はもう暗い。咲き初めた桜だけが、流れの音の中に明るいのである。景色が目に浮かぶようですね。そばにいる人に声をかけるおだやかな老人。
「山国ですから、雪が消えると、間もなく梅、それから、すぐに桜で御座います。それも、ほんの、二三日陽の暖かい日が続きますれば、おやと思う間に、村中が花になります。」

ここは信州でないの?とクイズの答えはわかったようなのですよ。小布施といえば葛飾北斎、この方ではないですか?吉川英治あたりが著者で。信州では梅と桜が一斉に咲きます。春の花も一斉に。老人は銀のような長い髭ある顔を手拭いで払って「江戸でございます」主人公は江戸からきたのか。北斎って江戸に住んでたっけ?こちらから何か尋ねなければ、口をひらかない。ということはあんまりおしゃべりじゃないんだな。北斎って絵ばかり描いてるから、きっと無口なおじいさんだったんだ。「仰向いて見ると、暗くなった枝の網目の中に、水色の星が二つ三つ拾い出される。きれいなこと。やせて骨張っているが、筋肉のたくましかった昔がうかがえる。そうだろうなあ。これは江戸時代。剣術で鍛えたんだ。どこともなく威厳さえ漂って見えるのだ。ということはちょっとえらい人ってことかな。大衆文学なんだ。

答えは北斎ではありませんでしたよ。
水戸光圀。
大佛次郎著

そうか。江戸ということと、こちらから何か尋ねなければ、口をひらかない。
これで水戸光圀ですよね。葵の御紋を見せて、「この御紋が目に入いらぬかあ」ですもんね。おじいちゃん(義父)、この人の出るテレビ見てたもんなあ。水戸黄門と水戸光圀、同じなんですよね。こんどこそ。カンニングしょうかな、夫せいから。

昔の作家は大衆文学でさえ、この名文です。そうですね。

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《 2015.02.03 Tue  _  ちまたの芸術論 》