『植草甚一コラージュ日記』の続きです。
この文面は一回やったことがあります。でもこんなふうに連載をはじめたのでもう一度。
次のページに少し文章があります。
思ったとおり十二時に目が覚め、机に向かってフイリップスでコーヒーをいれる。なれたせいか、このこーひーわかしは仕事中にいい。にっぽんでまねしたやつは格好もよくないし、どんなぐあいなんだろう。原稿はボチボチやってるうちに八時にペラ三十枚できあがった。けれど井田さんは気に入らないだろう。丸善で買った本に目をとおしているうちに十二時になり、すこし書きはじめようとした朝日をやるのがイヤになった。
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一月十七日
早く寝たのに遅く起きてしまった事、万年筆に八つ当たりしてますね。その細書きをほっぽり出して太字に移行したのが、その筆跡で分かる、なま原稿っていうんですかおもしろいですね。(わたしも太字がすきです。メッチャ安もんのペンですが)それでも調子悪くなったので、今はボールペンです。こだわっていたのになあ。ボールペンじゃあ、あじわいがないの、ほんと。シェイファーだっけ。インクはのこってるんだけど。たしか五百円程度。わたしの片腕やったのになあ(どんだけの書き手やねん)。 「ブヴァールとペキュシェ」の総革二册本一万四千円だけど買ってしまおうかなあ、欲しくなるとあきらめられない人なんだなあ。だけどこれだけの本たち、植草さんの死後どこへいくことになったのかしら。「植草甚一館」ってあるんですか。(NEKO美術館のような、あっちゃうっ
て、恐れ多くも比べたりして) 千五百円まけてくれたんですね「ペキュシェ」、植草さんはまけてもらうと必ずといっていいほどそのことを書いてる。これがものを買う時の楽しみなんよ。ついでにロバート・ライオン・ヘルプスの現代小説論も買う。古本でよごれたのが何かと思ったら・・そうそうそれが掘り出し物っていうわけですよね。興奮して咳が出てきましたよ。(ごみひろいやフリマのことを考えてるな、おぬし)貨幣価値は一銭や十円から移行してますな。二百円、高いのか安いのか。丸善から本が三十七冊か。さっそくコーヒーわかしてパラパラとですね。本の虫とは植草さんのような人を言うんですよね。それともパラパラ雑学人だったのかしら。
一月十八日
出かけたいけど仕事だ。 東京って、古本屋めぐりなどちょっと出ればキョロキョロ散歩ができて、寄り道して、コーヒー片手に戦利品をパラパラできるわけですね。うちの夫せいなんか、もしかしてこういうところがあってたんじゃないかしらん。 シェームフルな原稿ってどういう原稿なのかなあ。ユーモアの原稿の反対側なのかな。たしかに植草さんの本はユーモアありますよね。 きのう中村屋で買った「マンゴ・ジャム」いけるんだ。マンゴか・・眠くなるとちょっとばかり寝る、寝て下さい、糖尿なんだから。 「フイリップスのコーヒーわかし」、どんなんやろ。けっこうこだわりコーヒー人ですね、植草さん。「日本でまねしたやつは格好もよくないし、どんなぐあいなんだろう」。この日本語で立ち止まるわたしですが。 ペラ三十枚できあがったけど、井田さんは気に入らないだろう、ですか、そこで植草さんはどー出るんですか? 今度の日記に出てくるのかしら? あんがい「さいですか」って書き直すとか。わからないところが楽しみなんだなあ。