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2022.09.02

DARUMA×atelier naruse 2022|その1、デュフィというセーター

みなさま、こんにちは。
アトリエナルセデザイナーの成瀬です。夏の終わり、秋のはじまり。
みなさん、お元気でお過ごしでしょうか。

さてさて、毎年恒例の「DARUMA×atelier naruse」のコラボ企画。
ことしは、どんなニットをダルマ糸さんに作ってもらおう。と、毎年ワクワクしながら考えさせてもらっているこの企画。今年で3年目となりました。
今回はついに、ニットといえば!の、あの大物をつくってもらうことになったのです。

じゃじゃーん

DARUMA×atelier naruse |
チェビオットウール ~Dufy(デュフィ)~ 手編みケーブルセーター

size. F
着丈(CB)61 (CF)55 / 裄丈75 / B120 / 袖巾44 / 袖口20

weight. 600g

Material.
セーター本体 / ウール 100%(チェビオットウール)
ハンドステッチ部分(レッド)/ ウール 100%(メリノ)
ハンドステッチ部分(ブラウン) / ウール 100%(チェビオットウール)

price. 56,650yen(税込)| 本体価格 51,500 yen

(ONLINE STORE | 商品ページ)

■受注期間:9月2日(金)〜11日(日)22:00まで
■お届け時期:12月上旬(ご注文数によって多少前後する可能性があります)

左右非対称の様々なケーブル模様が主役のぜいたくでかわいい、手編みのセーター!!
できました〜〜〜!ばんざーいばんざーい(涙)

手編みならではの存在感。
そして、陰影のある凹凸感。おもわず、手でなぞって柄のうつくしさにうっとりと、惚れ惚れとしてしまいます。
リクエスト以上のセーターができあがってしまいました・・・!

毛糸の老舗メーカー「横田株式会社|DARUMA」さんとコラボするのだから、いつかは手編みのセーターをつくってもらいたい。とずっと思っていました。
でも、いざ考えだすと、編み物をしないわたしには、なかなか難題。
アトリエナルセのセーター。それは一体なんなのだ。どんなものなのだ。
ダルマ糸さんとの企画は、わたしにとって、とても贅沢で楽しみな企画である反面、編み物の知識がないわたしにとって、実はとってもハードルが高い!企画なのですよね。

どんなことがたいへんで、どんなことができるのか、できないのか。ということがわからないので、デザインどころか、デザインの入口がどこにあるのかも、わからない。
今回は、編み柄が主役のケーブルセーターだけに、アトリエナルセらしさがあるセーターって、なんだろう??と、考えれば考えるほど、迷宮入りしていったのですよね。

そうやって、もんもんと悩みながら、日は過ぎていき、焦りをとおりこして、ひらきなおりの落ち着きまででてきた頃。(笑)
ある朝。わからないからこその発想ってなんだろう。と、ふと思いました。

思えば、今までのダルマ糸さんとのコラボ企画は、全部その目線でかんがえていたのですよね。だからこそできた形があったなあ。と。
おこがましいけれど、常識がないからこそのおもしろさがあるんじゃないかと。
そしてそれをやさしく受け止めてくれる、ダルマ糸さんがいるじゃないか。と。
そこから改めて、セーターのイメージを考えていったのでした。

いろいろと受け止めてくれた、ダルマ糸の牧野さん。(右)
とんでもなく贅沢なリクエストをした、こわいものしらずのわたし。(左)

そんな2人でつくった、贅沢すぎる手編みのセーター。
ダルマ糸の横田社長、好き勝手にやらせてくださり、ほんとうにありがとうございます。(笑)
なんと、5月にわたしたちの住む街、兵庫県の宝塚市に引っ越しをしてきた牧野さん。
まだまだ新築の木のかおりが漂うすてきなマキノ邸で、今回のコラボニットについて、いろいろと語り合おう。ということになりました。

成瀬)「めっちゃ素敵すぎるセーターができちゃいましたね」
牧野)「ね〜いいのができましたねえ」

デザインのことはさておき、まずは、編み物マスターの牧野さんにこのニットの良さをじっくりと聞くことにしましょう。

(かろやかに踊る、モデルの麻絵ちゃん)

まずは、糸について。
今回使用した毛糸は、イングランドとスコットランドの境に位置するチェビオット丘陵に生息することから名前がつけられた英国羊毛 “チェビオットウール”。
気温が低く、岩や石が多い厳しい自然環境の中で育つことで、その毛質はしっかりとしたコシ感のある強いものになるのだそう。 膨らみがあるとても軽い糸でありながら、型崩れしにくい特徴があり、ケーブル模様がはっきりと浮かび上がる毛糸なんだそうです。

成瀬)「たしかに、柄がはっきりとでて凹凸感がほんとうにきれいなセーター!」

牧野)「着用するほど、洗うほどにふっくらとやわらかく、身体に馴染むと思います。いっしょに年齢を重ねていくような、末永く育てることができる一生もののセーターになると思いますよ。」

成瀬)「おばあちゃんになっても着れるなんて。(さわりながら)たしかにしっかりと編み込まれていて丈夫!おばあちゃんになっても着る着る!
さてさて、牧野さん。早速ですが、このセーターを編む上でのこだわりの部分を聞いてもいいですか?」

まずは、ここ!と教えてくれたのが、エポレットスリーブ仕様で袖をつけているところ。
両方の袖から背中にかけて、編み模様がきれることなくつづいているんです。

牧野)「この仕様って、とってもぜいたくな仕様なんです。柄がとぎれない。という美しさもあるし、着たときに肩がなだらかなラインになるんです。着るひとの体型に沿ってくれるというか。」

編み柄が途中でとぎれることなく、袖までつづく。

成瀬)「洋服でもそうですが、セットインスリーブじゃないラグラン仕様なんかも、肩のラインがきれいだよね。さらにエポレットスリーブというのは、フロントも背中も柄の切り替え位置もなだらかで、よりおさまりがいいね。」

牧野さん、クローゼットから既製品のセーターを持ってきてくれました。

牧野)「既製品のニットだと、こうやって肩のラインで剥ぎをいれるセーターとかが多いんだけど、そうすると柄がとちゅうでとぎれちゃうんだよ。」

量産する既製品では、短時間でたくさんつくるために、省いていかざるをえない工程があるけれど、(機械編みセーターの良さももちろんデザインによってはあるんだけどね。)ひとつひとつの手間ひまを敢えて省かずに、時間はかかるけれど、手編みでしかできない表現ということを、あえてやってくださっているのですよね。

牧野)「もうひとつ、セーターの裾のリブ部分。フロントのリブは、ななめに入るスリットデザインなので、ふつうのゴム編みよりもより立体的な編地に仕上がる「ねじり目」という編み方になっているんだよ。」

成瀬)「ふつうのゴム編みではないの?」

牧野)「ニットでは、ななめのラインにするということは目数を減らしたり、編み方を工夫しないといけなくて、このななめの線をきれいにだして、おさまりをよくするために「ねじり目」のゴム編みを採用したんだよ。」

成瀬)「洋服だと、ななめに布を切るだけでできることでも、編みものに置き換えると、ななめにするということは、いろいろと考えないとでないラインだったりするんだね〜!
なんだか気軽に「ななめにしたい」と言ってごめんなさい〜という気持ち。。」

ねじり目のゴム編みは、ふつうのゴム編みより、立体的な編み方になります。

牧野)「ところで、左右非対称の柄のセーターというのはほんとうにめずらしい!これは編み物をしない人だからこそ、生まれた発想だね。編み物をする人は、柄は左右対称にするもんだ。という常識があるから、この発想はちょっと感動しました〜」

成瀬)「そうなのね。左右非対称のバランスがむずかしいからかな。でも今回のニットは非対称なのに、バランスがいい!さすがやねえ。たかちゃん。(牧野さん)
編む人の立場にたったら、手編みだからできることでも、それは大変だから・・という意識がはたらいてしまうけど、わたしは編みものをしないから、なにが大変か。がわからないんだよね。さっきのリブの裾のななめのラインもそうで。頼む人によってはこのリクエスト、おこられそうだよね。牧野さんだからこそ、おもしろがって受け止めてくれたような気もする。ははは」

牧野)「今までのコラボも、製図を割り出してくださった先生や、編み職人さんはおもしろがって作ってくださっているんですよ〜」

成瀬)「・・ありがたいです。関わってくださっているみなさま、どうもありがとうございます。」

成瀬)「ところで、手編みのセーターのお手入れの方法とかもおさらいしていいかな?
手編みというだけで、洗うのこわい。と思う方のほうが多いような気がする。チェビオットウールの毛糸は、毛玉ってできやすい?」

牧野さん、またもやクローゼットにいって、すてきなグリーンのニットカーディガンを持ってきてくれました。

成瀬 )「おお、かわいいね〜!すごーい!牧野さんが編んだの?」

牧野)「そう、同じ「チェビオットウール」の毛糸で編んだカーディガン。洗うとすこしやわらかくなって、優しい風合いになるんだよ。でも、ほどよく硬さも残るから洗ったからといって、柄の凹凸感がうすくなるということはなくって、凹凸感は残しつつ、ほどよくやわらかくなる。という感じかなあ。そして、ケーブル編みのセーターは実はメリヤス編みよりも、毛玉は目立ちにくい。ということもあるんだよ。」

成瀬)「へえ、それはうれしいね。」

牧野)「でも脇とか、摩擦が起こりやすい部分には、どうしても毛玉はできてしまうので、できてしまったら専用のクロスブラシを使って優しく、梳かすように毛玉をとるの。」

 

 

 

 

メリヤス編みで編んだ、シンプルな紺色のセーターも持ってきてくれました。
たしかにシンプルなメリヤス編みのセーターのほうが、毛羽立ちが目立ちやすい感じがしました。

成瀬)「同じ毛糸でも編み方がちがうと、厚みや風合いも違うんだねえ。勉強になる〜」
牧野)「お手入れの頻度は、着たら洗う。ということはしなくて、シーズン中に1度洗うくらいかなあ。」とのこと。

手編みのニットの洗い方は、前回も聞いたのだけど、改めて書いておきますね。

■お手入れ方法
お洗濯の際はドライ用洗剤を使用し、手洗いで行ってください。水温はあたたかいお風呂くらいの温度がおすすめです。摩擦がおこると毛玉ができやすくなるため、こすらず、やさしく、押し洗いで。
洗濯後は、平干しに。ハンガーで吊り干しすると伸びてしまいます。風通しのよい平らな場所、もしくはタオルの上などで陰干ししてください。型崩れが気になる場合はアイロンのスチームをあててあげると、編目が整い、ふっくらとします。

さてさて、お次は、デザインというか、かたちですね。
今回の企画で主にわたしが考えたのは、セーターのかたちの部分。

セーターのかたちをかんがえるときに、むかし持っていた古着のアランセーターのことを思い出していました。
伝統的な、いかにも!というデザインのアランセーターです。

わたしが持っていたものがたまたまたそうだった。ということはもちろんあるのだけど、そのアランセーターは、かたちのデザインはいたってシンプルなもので、女性でいうとLサイズ、メンズでいうとSサイズくらいのものだったのだけど、オーソドックスすぎて、なかなか着こなすのがかえってむずかしいかたちでした。
1枚で着るには、ネックがやや中途半端な明き具合だったり、セットインスリーブだったからか、肩のラインがイカリ肩にみえてしまったり、丈感もやや長めでスカートや太めのパンツとは相性が悪かったので、どうあわせても野暮ったくなるのですね。
アランセーターの編み柄は魅力的なんだけど、どうも自分らしく着こなすのがむずかしいセーターでした。

その後、アトリエナルセでも初期の頃に実は、手編みのアランセーターをひとつ作っているんです。このセーターはよく着ていましたね。コンパクトなサイズ感で編み柄もかわいくて気に入っていました。でも、若かりし頃に作った。いうのもあって、その後、私自身の体型がふっくらしちゃって(笑)身幅や袖巾がやや窮屈に感じてきてしまい、さいきんはクローゼットの奥でしずかに眠らせていたのでした。

(10年ほど前にアトリエナルセで作った アランセーター。モデルは友人の高井さん)

ゆったりしてるけど大きすぎず、いろんなボトムスと相性のいい「アランセーター」があればいいなあ。とおもったのですよね。

そんなわけで、編み柄のセレクトは編み物マスターの牧野さんにおまかせして、いつも洋服をデザインするときみたいに、わたしはセーターの「かたち」を考えてみることにしたのでした。

(わたしのつくった企画書)

・丈は、じつはちょっと短めがいいな。(スカートやワイドパンツとも相性がよくなる)
・身幅(バスト)はゆったりがいいな。袖巾もゆったりがいいな。
(中にカットソーやシャツを着ても表にひびかないくらい)
・ネックは、ちょっとつまっているモックネックがいいな。(1枚でも着れる)
・袖口のリブは長めが、好み。
・裾のリブは、しぼらないで、身幅からまっすぐのライン。
・編み柄は左右非対称がおもしろいなあ〜。
・さいごに手縫いでらくがきみたいなステッチをいれたいな。

そうやってできたのが、今回の「Dufy(デュフィ)」という手編みのセーター。

「Dufy(デュフィ)」という名前は、フランスの画家「Raoul Dufy(ラウル・デュフィ)」からきています。

成瀬 )「パリの芸大生や若いアーティストのパリジェンヌのような気分で、きれいに編み上がったセーターに落書きするような軽さで、ちくちくとステッチしたんよ。(大阪弁でパリジェンヌの気分を語る)」

それを聞いた、アトリエナルセ社長(夫でもある)の早川が、フランスの画家、Raoul Dufy(ラウル・デュフィ)の絵のイメージが思い浮かんだのだそう。

成瀬)「デュフィ!いいね!なんかそんなイメージやわ。(やっぱり大阪弁)」

たしかに、デュフィの絵のイメージは、ぴったりだと思いました。ポップでおしゃれで、なんだか軽やかなASOBIココロがあるセーター。

完成されたデザインのものに、いたずらするみたいに入れたステッチ。
なかなかに罪悪感もともなう作業でございます。笑

できあがったセーターには、1つずつわたしがステッチをするので、個体差がでてしまうと思います。セーター自体も手編みなので、1着ずつ多少の個体差はあると思いますが、それこそがなんだか魅力的。と、思ってくださったらうれしいな。と思います。

袖のリブが長いところ、とても気に入っています。
インナーにはカットソーを着てもいいし、シャツを着てもかわいいね。

わたしも着てみました。ちょっと待ってね。階段のぼるところ、撮ってもらおう。
(牧野撮影)

わざとらしく、階段をのぼっているところ。横のデザインをね、みてほしかったのよ。

牧野さんにも着てもらいました。アトリエナルセのバルーンパンツとも相性がいいね。
ちなみに身長ですが、牧野さんは160cm、わたしは身長158cm。
モデルの麻絵ちゃんは165cmですね。
(成瀬撮影)

1点1点、手編みなので編む時間はプロでもひとりで編むとすごい時間がかかります。編み手さんにもよりますが、1ヶ月〜1ヶ月半ほどかかることもあります。

そんなわけで、ご注文からお届けまで3ケ月ほどみてもらってますが、ご注文数によっては、お届けがもう少し長くなることもあります。
※数名の編み職人さんが1点1点、編んでくださいます

成瀬 )「牧野さんだったら、セーターを1枚編むのにどれくらいかかる?」

牧野)「メリヤス編みだったりケーブル編みだったり、糸の太さでも時間は変わってくるのだけど、50〜120時間くらいかかるかなあ。土日だけで編み進めると1ヶ月〜3ヶ月くらいかかることも。あのケーブルセーターだと100〜120時間くらいかかりそうかな〜??」

成瀬)「ひえ〜」

でも編み物をする人は、ただひたすら完成を目指して苦労して編むのだ!というのではなく、編む時間こそが、たのしい時間なのでは。と、牧野さんをみていると思います。

(部屋の片隅にあった毛糸と編みかけのニット)

牧野さん。すきま時間ができたら、手をうごかす。というのが習慣になっているようで、ご近所になってから、牧野さんとよくランチやお茶をする機会がとくに多くなったのだけど、大体わたしが何分か遅刻するのですね。(苦笑)

カフェでひとりで待っている牧野さんは、編み物をしながら待ってくれていたりします。
あるときは、待ち合わせ場所の駐車場でへりに座って編み物をしながら待ってくれていたこともありました。読書するみたいに、編み物をしている牧野さん。
その姿が、なんだかとてもすてきなんですよねえ。(遅刻せずにいきなさい。とつっこまれそうですが)

編む時間をたのしみながら、気づけばセーターや帽子ができている。
きっと、編み上がる頃には、ちょっとしたさみしさなんかもあるんじゃないかしら。と、想像します。
はまっていたドラマの最終回のような気分じゃないかしら・・ちがうかしら。

自分で編む時間をたのしみたい方は、12月にダルマ糸さんで発売される毛糸と編み図がセットになったキットが販売されるので、たのしみにしていてください。
ちなみに、いたずら描きみたいなステッチは、アトリエナルセのセーターのみになります。(いれたい方は好きにステッチしてみてくださいね!)

さてさて、次回はニット帽について語り合います。

DARUMAオフィシャルサイト
DARUMA STORE 公式オンラインストア

撮影/伊東俊介
モデル/麻絵
プライベート撮影/牧野&成瀬

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