少し前から何か書くことに困ったことがあると、おそらくみなさんもご存知だろう『ほぼ日刊イトイ新聞』で糸井重里さんが書かれている『今日のダーリン』をちょっと読んでみたりします。

　私は平日だけ。けれど、糸井さんは毎日。私は1年半。そして、糸井さんは10数年。そんな偉大な、というか、脅威の先輩が「今日も今日とて何か書いてらっしゃるのかしら」という確認と、「なんならネタをパクれやしないかしら。テヘッ」という淡い期待を胸に読んでみたりするわけです。

　実際にはそこで書かれているものをパクることができた、いや、オマージュできたことは一度もなかったのですが、今回はちょっとパクらせて、いや、オマージュさせていただければと思います。

　といいますのも、先週末の土曜日に書かれていた『今日のダーリン』は、「晴耕雨読」という四字熟語から始まるものでした。私、昔からこの「晴耕雨読」という言葉がとても好きです。意味は「晴れた日は田畑を耕し、雨が降れば読書をする。そんなのんびりと穏やかな悠々自適な生活のこと」といった具合。きっとお好きな方も多いかと思います。

　ですが、この四字熟語を読んで、“悠々自適” だと思えるか否かは、その人次第のような気もするのです。たとえば、“耕” というのは仕事のことを意味するのでしょう。そして、“読” というのは勉学のことを意味するのでしょう。そんな “仕事” や “勉学” を楽しいと感じることができたり、自分にとってある種のエンターテイメントのようなものに感じることができてはじめて「晴耕雨読」という四字熟語の本来の意味は成立すると思うのです。

　しかしながら、 “仕事” や “勉学” は楽しいだけではありません。苦しいと感じることだってあるでしょう。もしかすると、そう感じることの方が多いかもしれません。そうすると、「晴耕雨読」という四字熟語には、たちまちブラック企業なオーラが立ち込めてくるように思います。往年のスポコン漫画のような「晴れてるんだから身体を動かしやがれコノヤロー」「雨が降ってるんならせめて勉強しやがれコノヤロー」といったど根性ストイックオーラが漂いはじめ、ちょっとしんどい言葉になってしまいます。そんなことないです？

　で、何が言いたいのかと申しますと。私、どちらかといえば「晴耕雨読」という四字熟語は、後者のほうが元々の意味だったんじゃないかと勝手に思い込んでいるのです。しなしながら時を経て、「晴耕雨読」という四字熟語は、現在の “悠々自適” という意味合いに変化していったのだとこれまた思い込んでおりまして、ことほどさようにただの思い込みではあるものの、そんな自分の思い込みが大変おもしろいなあと思うのであります。つまりは、時代とともに、もしかすると年齢とともに成長させることが可能な言葉。ということは、今って結構、いい時代なんじゃね？ と思いますし、年齢を重ねるのもいいんじゃね？ と思うのですが。そんなことないです？

　まぁ、かくいう私も、この「晴耕雨読」という文字をパッと読んでどう感じるかは、その日次第。自分のエネルギーやメンタルクサクサ度を測る試金石、リトマス試験紙だったりします。ちなみに今は “悠々自適” 方面にメータが振れておりますので、きっと悪くない感じです。

　でも、こちらが更新されている月曜日。もしかすると “ブラック” 方面にややメーターが傾いているかもしれませんが、たぶん、水曜日あたりには元に戻っているので大丈夫でしょう。

　そんなわけですが、今週もよい一週間となりますように。花粉症のみなさま、黄砂苦手なみなさま、症状ひどくなってないですか。なんかもうちょいな感じですね。共に乗り切りましょう🤧。以上、糸井重里さんのオマージュ、いや、おまんじゅうでした。

◎【Today’s Memo】は平日の毎朝8時に更新。atelier naruse 代表・早川による、ちょっとしたエッセーのようなもの、です