2023.06.16
20230616
私の周りの一部の人たちの間でこんな擬音語、オノマトペを使用する方を、5年くらい前からでしょうか、散見いたします。
「FAX、“ぺろ~ん” と送っといてー」
「今からメールを “ぺろ~ん” と送っときますー」
いかがでしょうか。みなさんは、お心当たりがありますでしょうか。みなさんの周りに電子機器を介したメッセージのやり取りをする際に “ぺろ~ん” を使用される方はいらっしゃいませんでしょうか。
そんな、 “ぺろ~ん” 。突然なにを言い出すんだ、そんなふうに思われるかもしれませんが、この “ぺろ~ん” 。生みの親は、何を隠そう、この私であると思っております。
「サーフィンを日本ではじめてやったのはオレさ👍」
「テリヤキバーガーをはじめてつくったのはオレさ👍」
あの(?)雰囲気がプンプン漂って参りしてきましたが、いいえ、私には “ぺろ~ん” を使い始めた日の確かな記憶があるのです。
あれは15年ほど前になるのでしょうか。私がまだフリーランスの編集者・ライターとして活動をしていた頃に、よく聴いていたとあるラジオ番組がありました。それは、松本人志と高須光聖がパーソナリティーを務めた『放送室』という番組。私は約7年半に渡って放送された全391回分の録音音源を今となっては懐かしい “iPod” に入れ、時間さえあれば聴いている、という期間がしばらくあったのです。
で。その番組と “ぺろ~ん” のあいだにどんな関係があるのかと言いますと。
まずお伝えしなければいけないこと。それは、パーソナリティーの高須光聖(ダウンタウンと同級生の放送作家)が、会話の中に擬音語を入れるのがとても上手く、かつ、面白かった、ということ。たとえば、(あれだけ聴いていたのにふと思い出した例がコレで恐縮ですが)ウォシュレットトイレのムーブ機能を使用している際の音を「ジィーヤ、ジィーヤ」といったふうに表現する、という具合です。
そして。私はその巧みな擬音語の創作に憧れました。言葉を使うものの端くれとして、私も高須氏のように、何か小気味のよい擬音語をつくれやしないかと思い続けたものです。もう、お分かりですよね。そんな日々を過ごしたとある日、仕事の電話をしていた相手に向かってふいに口をついて出たのが、そう。「FAX、今から “ぺろ~ん” と送っとくわー」。
みなさん。記憶というのは実に曖昧です。そして、記憶はそれが過去のものであればあるほど、その形、もしくはその事実関係さえも都合よく変えることがあることは私自身にも実感があるところです。
もしかすると、高須光聖が「ぺろーん」を使っていたのかもしれない。私は単にその真似をしたに過ぎないのかもしれない。
しかーし。
安心してください。「高須光聖 ぺろーん」と検索をかけても出てきませんよ。ねえ、もう、だったら、俺じゃん👍。
加えて。あの頃、私が携わっていたのは小さくたって、いわゆるメディア。しつこく “ぺろ~ん” を使用していた際、よく出入りをしていた編集プロダクションの社員たちが “ぺろ~ん” を真似して使い始めていたことも認識しています。やっぱり、俺じゃん👍。もう、俺でいいじゃん👍。あ。ご時世的に、こうたとえると、わかりやすいかもしれませんね。私の発した“ぺろ~ん” は、“ぺろ~んウイルス” だったのだ。
どうも、こんにちは。我こそが “ぺろ~んウイルス” の始祖であーる。だーはっは。だーはっは。ぺろりろり~ん。
というわけで。
いろんなご意見や事実関係はまったくもって受け付けませんし、仮に受け付けることになるようなことがありましたらば、秒で、スライディング土下座でお詫びいたしますが、せめて、この場だけでも。この【Today’s Memo】にお集まりいただいているハイセンスなみなさんの心の中だけでも。誰かが「“ぺろ~ん” 」を口にした際、(わたしはその始祖を知っている)と脳内でマウンティングをとって、その日一日を気持ちよく過ごしていただければコレ幸いだな、なんて思います。
それでは。
今週もお疲れ様でございました。梅雨らしいお天気が続きましたが、今週末は晴れるところも多くなりそうですねー。夏風邪が流行っている? そんな噂もちらほらですが、どうぞ、たのしい週末を! また、来週! ぺろりろり~ん。
◎【Today’s Memo】は平日の毎朝8時に更新。atelier naruse 代表・早川による、ちょっとしたエッセーのようなもの、です