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モームさん

スキャン4751.jpeg『月と六ペンス』

 食堂は当時はやりのよい趣味でしつらえていた。ごく渋いものだ。白い材木の高い腰羽目に、緑の壁紙、その上に小ぎれいな黒い額に入ったホイスラー(1934−1903、英国に在住した米国の油彩及びエッチング画家)のエッチングがかかっている。くじゃく模様の緑のカーテンがまっすぐに垂れ下がっている。薄色の兎が葉の茂った木々の間ではねまわっているのが模様になっている緑のじゅうたんは、ウイリアム・モリス(1834−96、英国の詩人、工芸美術家)ばりのものである。マントルピースの上には青いデルフ焼の陶器がのっている。その頃は、この食堂とまったく同一の様式に飾られた食堂がロンドンに五百もあったにちがいない。清楚で芸術的で、退屈なものだった。 
 婦人の家を辞すると、私はウオータフォド女史と一緒に歩いて行った。天気はいいし、女史は新調の帽子をかぶっているしというわけで、ぶらぶらとハイドパークを横切る気分になった。
「実にいい会でしたね」と私が言った。
「お料理はよかったとお思いになる?あの人に言ってあげたのよ、作家をよびたいんなら、いいお料理を出さなくてはだめよ、って」
「それはいい忠告をしましたね」と私は答えた。「しかし何故作家などをよびたがるんです?」
ウオータフォド女史は肩をすくめた。
「面白い人達だと思っているんでしょ。あの人は時勢の波にのっていたいのよ。気の毒だけどあの人ちょっと単純だわね、私達がみんなすばらしい人達だと思っているんだから。とにかく、私達をお昼に招ぶのがうれしいのよ。それに、よばれてもべつに損はないし。そこがあの人のよいいところね」

ウイリアム・モリスとかホイスラーがでてきますね
その時代を想像しています
「あの人は時勢にのっていたいのよ。気の毒だけどあの人ちょっと単純だわね。私達がみんなすばらしい人達だと思っているんだから。とにかく、私達をお昼に招ぶのがうれしいのよ。それによばれてもべつに損はないし。そこがあのひとのいいところね」
うまくはなしをまとめますねえ

『現代に生きる サマセットモーム』ですよ。何か かけ持ちの 忙しい人みたいですが 
この清水明さんの文章も 映画の話もくわしいですね。知らなくても 俳優の名前は知っているので
興味がわいてきます。
『人間の絆』は1949年 テレビ放映を米国で一時間のみに文芸テレビ・ドラマ・シリーズの一本として制作されているんですね。
フイリップ役に かの有名なチャールトン・ヘストンが 大スターになる直前に起用されているんですね 自分はチャールストン・ヘストンとおぼえていて 今更のように チャールトンなんだと 驚いているのではありますが。 違和感のある配役だったようですが、ここで明さんは「案外、ヘストンに秘められた繊細さと素朴さとが、フイリップ的キャラクターを演じるのにまったくふさわしくないと言い切れるかどうか」と書いています。
なんせ読んでいない、みてない私にはわかりません。そんくせ『風と共に去りぬ』のあの役のレスリー・ハワードの肩を持ったりして。 わけのわからんふうになってきましたよ。

上の写真はお陽さまに大きな輪っかが出来た時
《 2021.02.15 Mon  _  読書の時間 》