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石ころ

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石ころ  まど・みちお全詩集 理論社

夏の まひる
とある 道ばたの
小さな石ころが ひとつ
消えました

通りかかった
雲の影が
ふと 包んで
持って行ったのでした

その夜
世界中の 岩山たちが
嵐のように 叫び合いましたが
おとむらいだったでしょうか
お祝いだったでしょうか

人の耳には
ただ そのあたりに
コオロギの声が 一りん
小さく光って
咲いているきりでした


通りかかった 雲の影が ふと 包んで 持って行ったのでした

ただ そのあたりに コオロギの声が 一りん 小さく光って
咲いているきりでした


石のことは けっこう ともだちか 手下のように思っています
夏は 肩やおでこにあてます 
この世でただのものの一つが 石ころ
だいたい石ころなんて あまり尊敬した呼び名ではないですよね 
海に海水浴にいって 海にはいらずに ずっと石をひろっていました
持ちきれないほど欲張って うちに帰ってから ひとつひとつを
手のひらに置いたり おにぎりみたいににぎってみたり
このラインは どこで どうやって できたのかとか
それは 何億年前の石と言っては それはありえないと言っては
そんなすごい歴史を 石ころで終わらせて よいのだろうか
いろいろ 想像するのです
さんざん このように石をもちあげておいて やがては 
ほとんどが 庭に転がっているのです
まど・みちおさんの詩のように 影が 石を もっていったとしても
私は気づかないでしょう 

《 2019.10.12 Sat  _  これくしょん 》