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こころ 夏目漱石

「こころ」夏目漱石 先生と私 つづき

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  私はその晩先生の家へごちそうに招かれて行った。これはもし卒業したらその日の晩餐はよそで食わずに、先生の食卓ですますというまえからの約束であった。
 食卓は約束どおり座敷の縁近くにすえられてあった。模様の織り出された厚い糊の硬い(こわい)卓布(テーブルクロース)が美しくかつ清らかに電灯の光を射返していた。先生の家で飯を食うと、きっとその西洋料理店に見るような白いリンネルの上に、箸や茶碗が置かれた。そうしてそれが必ず洗濯したての真っ白なものにかぎられていた。
 「カラやカフスと同じことさ。よごれたのを用いるくらいなら、いっそはじめから色のついたものを使うがいい。白ければ純白でなくちゃ」
 こう言われてみると、なるほど先生は潔癖であった。書斎などもじつにきちりと片づいていた。無頓着な私には、先生のそういう特色がおりおり著しく目にとまった。


「カラやカフスと同じことさ。よごれたものを用いるくらいなら、いっそはじめから色のついたものを使うがいい。白ければ純白でなくちゃ」

先生が潔癖であるふうに見えるのはー たとえば テレビで見たイタリアの家庭の
テーブルクロス まずは真っ白の糊のきいたのをさーっとしきますよね
それが どのうちでも そんなふうにしているのをみて 私は驚きました
「白ければ純白でなくちゃ」
いやーはや 先生は西洋で この習慣を覚えてきたのか 潔癖なのか
《 2019.04.16 Tue  _  読書の時間 》