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こころ 夏目漱石

「こころ」 夏目漱石 先生と私 つづき

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 先生は病気という病気をしたことのない人であった。先生の言葉を聞いた私は笑いたくなった。
 「私は風邪ぐらいなら我慢しますが、それ以上の病気はまっぴらです。先生だって同じことでしょう。試みにやってごらんになるとよくわかります」
 「そうかね。私は病気になるくらいなら、死病にかかりたいと思ってる」
 私は先生の言うことに格別注意をはらわなかった。すぐ母の手紙の話をして、金の無心を申し出た。
 「そりゃ困るでしょう。そのくらいなら今手もとにあるはずだから持って行きたまえ」
 先生は奥さんを呼んで、必要の金額を私の前に並べさせてくれた。それを奥の茶箪笥か何かの抽出(ひきだし)から出して来た奥さんは、白い半紙の上へ丁寧に重ねて、「そりゃ御心配ですね」と言った。
 「何べんも卒倒したんですか」と先生が聞いた。
 「手紙にはなんとも書いてありませんが。ーそんなに何度もひっくり返るものですか」
 「ええ」
 先生の奥さんの母親という人も私の父と同じ病気で亡くなったのだということがはじめて私にわかった。
 「どうせむずかしいんでしょう」と私が言った。
 「そうさね。私が代わられれば代わってあげてもいいが。ー吐き気はあるんですか」
 「どうですか、なんとも書いてないから、おおかたないんでしょう」
 「吐き気さえこなければまだ大丈夫ですよ」と奥さんが言った。
 私はその晩の汽車で東京を立った。


このわたしの打っていく 文面は 短すぎます
そこで 思うんです
「これは 日本語の練習です」
もし私が こうした文を 創り出すとしたら それは簡単なことではありません
この話がどう進んで行くのか 読者の私には わからなくても 途中であっても
このような文章を創り出すことができるのかしらと 思うんです 
《 2019.02.21 Thu  _  読書の時間 》