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こころ 夏目漱石

「こころ」夏目漱石 つづき


 私は時々先生を訪問するようになった。
行くたびに先生は在宅であった。先生に会う度数が重なるにつれて、私はますます繁く先生の玄関へ足を運んだ。
 けれども先生の私に対する態度ははじめて挨拶をした時も、懇意になったそののちも、あまり変りはなかった。先生はいつも静かであった。或る時は静かすぎて寂しいくらいであった。私は最初から先生には近づきがたい不思議があるように思っていた。それでいて、どうしても近づかなければならないという感じが、どこかに強く働いた。こういう感じを先生に対してもっていたものは、多くの人のうちで、あるいは私だけかもしれない。しかしその私だけにはこの直感がのちになって事実の上に証拠立てられたのだから、私は若々しい言われても、ばかげていると笑われても、それを見越した自分の直覚を、とにかく頼もしくまたうれしく思っている。人間を愛しうる人、愛せずにはいられない人、それでいて自分の懐にはいろうとするものを、手をひろげて抱き締めることのできない人、ーこれが先生であった。


人間を愛しうる人、愛せずにはいられない人、それでいてじぶんの懐にはいろうとするものを、手をひろげて抱き締めることのできない人

この言葉が不思議です。さいごの「手をひろげて抱き締めることのできない人」
そう不思議がったあとで それは どういう人のことをさすのだろう もしかして
自分にも それがあるとしたら それはどこから来るのだろうと そこのところを
考えてみたりして
ここはあくまでも 「こころ」のなかの 経過です
話はどういうふうに進んで行くのか わからないのに
なんちゃってですが 私の本の読み方は 自分のことも一緒くたにして
考えるところかな

《 2018.12.25 Tue  _  読書の時間 》