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思いがけないところから
「雑記帳」 NEKO美術館発
これはだいぶ前の話なんですけど
ほとんどが だいぶ前の話だから いいですね。
カセットテープの中に入れるテープ それに 話し続けていた頃があるんです
それは 前にも話したことがあると思いますが これもよくあることだから
いいですよね。
わたしは 高校生の多感な頃 人前で喋ることが おそろしく苦手で
「わなわな」だけで 終わったことがありました。
人前で歌ったり みんなの前で意見を言う ふだんならしゃべれるのに これが
「そんなこと よくある話じゃない」 そう思うと こんなに残念がることもないのに
私は すぐ絶望するのでした。
で 絶望から這い出したいと これまた まじめに考えるところがあるんです。
それで 「この テープで 一人で 喋る練習」とあいなったわけです。
そうなると 夢中になるのも 私なんです。
はじめは緊張しながら 咳き込みながら
そのうち かなり 落ち着いて まるでジスクジョッキーのお姉さんのように
きもちよくなって 調子に乗って来たのでした。
外に出て 鳥の声を取材したり その鳥を紹介してみたり
一人で 楽しみました
夫セイにだって ないしょですよ
こどもたちは 相手になってくれたことも
そこに「にゃー」なんて猫も入って来たりして
それがみんな入っているんです。
こんな素敵なテープ いいでしょう
でも ぬかりがあって 夫セイにみつかってしまいました
そのテープを 車においていたからです
藤本さんもいたなあ 「おいこれだれ？」
私は だまって 話が終わるのを まっていましたよ
「のりこさんちがう？」
「いいやん アナウンサーみたいや」夫セイは言いました
そのテープを今になって 聴いてみるんですが テープって 劣化するのかなあ
いい声の筈なのに 何を言ってるのか
喋り過ぎて スターの人のように のどがかれて 咳が出て その後
テープに話しかけるのは ストップ
咳持ちになって もう
そのうち こんどは 頭の方がやばくなってくるんです
忙しいでしょ
で 人と喋るのも嫌になって ふあんになって
しかし なんと 咳が 少しずつ止まって来るのでした
ぺんぺんぺけぺけ シャシャンのシャン
みなさん みなさんの病気も 引っ越しをする時があるようですよ
すると まえの咳は なおるらしいのです
何の話でしたっけ？
みなさんも「まえの病気は なんとかでした」そういう日は
きっと 思いがけないところから やってきますよ
《 2017.11.05 Sun _ これくしょん 》