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名作を読んでみる

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「190ページを 読んでみる」リヤ王 坪内逍遥訳 中央公論社 昭和9年

本は 1ページから読むものでしょうね
で わたしは190ページと191ページを 読んでみることにしました

第四幕
第一場 荒野(ヒース)

   やはりリベドラムのきちがいひこじきにかさうしたままで エドガーが出る。
エドガ かうして、さげすまれているのを知っているのはまだましだ。しぢゆう口先でだまされて、さげすまれているよりは。運命に見棄てられて、一等悪い、沈み切ったきやうぐうにいるてぃのは、早晩浮き上がる望みこそあれ、何も恐ろしいことはない。およそ情けないのは、此の上もない善い境遇からの変転だ。かなしみ極まれば悦び来る。してみリヤぁ、このそっけない、空な風めも、今の我が身にゃ良い友達だ。汝に吹き飛ばされて、こんな最悪の境遇に堕ちたものの、何一つ汝の世話にならんのだから、気楽だ。・・・や、だれか来た!

  グロースターが、一老人に手を引かれて?・・・おお人生よ、人生よ、人生よ!思ひがけない転変に遭うて世を厭ふ心を起こせばこそだが、でなきゃ、誰も甘んじちゃあ老衰すまいわい。
老人 おお、お殿さま、手前はご先代様さま以来、八年間、御配下に住んでをりましたのです。
グロー 去ってくれ、あっちへ去ってくれ、どうか帰ってくれ。助けてくれても、わしのためには何にもならん。汝の難儀になるわ。
老人 でも、お行手がお分かりになりますまい。
グロー 行手とてもない。それゆえ目は要らん。目の見えた時分には折々けつまずいた。たまなかあれば油断の種ぢゃ、無いはうが得じゃ。

***

ここのページを 読んでみますと おもしろいし 人生を考えてみたくなりませんか?
どこからこう続いているかって? それがなくても。
《 2017.11.02 Thu  _  1ぺーじ 》