「生きるとは自分の物語を作ること」 考える 新潮社 2008
河合隼雄 小川洋子 対談 つづき
傍にいること
河合 カウンセリングは、ちゃんと話を聴いて、望みを失わない限り、絶対大丈夫です。でも、例えば「先生、次は学校行きますよ」「嬉しい、良かったね」っていうやりとりが何度あっても、やっぱり行けない。それでこちらが内心望みを失うとするでしょう。そうしたらもう駄目なんですよ。「アカンかったわ」と言われた時に、こちらがちゃんと望みを持っていることが大事なんです。
小川 まだまだ大丈夫っていう、望み。
河合 「行けなかった」と言った時「でも行けるよ」って言うたら、行けなかった悲しみを僕は受け止めてないことになる。ごまかそうとしている。「そうか」と言って一緒に苦しんでいるんやけど、望みは失っていない。望みを失わずにぴったり傍におれたら、もう完璧なんです。だけどそれがどんなに難しいか。
小川 日常の中で、何気なく人を励ましてるつもりでも全然励ましたことにはなってなく
て、むしろ中途半端に放り出してるってことがあるんでしょうね。
河合 それはつまり切っているということです。切る時は、励ましの言葉で切ると一番かっこええわけね。「頑張れよ」っていうのは、つまり「さよなら」ということです(笑)。
小川 「私はここで失敬します」ということですね。
河合 そういうことです。だから僕らは「頑張りや」は言わんと別れるんですね。「あなたが持ってきた荷物は、私も持ってますよ」っていう態度で別れる。
こちらが「アカンかな」て思い込んでしまったら、「あ、ほんまにアカンのだな」て相手は不安になるでしょ。そういう時下手な人は、「そうか。やっぱり僕ではアカンな」となる。相談に来た人はますます不安になります。
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ひえー 私 カウンセラーさんちゃいますけど いそいでメモとってる気分です。
話を聴いて 解決策とか頑張りや などと気安く言わないで 「あなたが持ってきた荷物は、私も持ってますよ」
これって 同時に2つ 何かを やっているって感じ。
じゃあ その日のカウンセル・マキ ちゃう 話が終わったら 「さようなら」「頑張れよ」と言わずに どうやって 声をかけるのかしら。これはきっと企業秘密よね。
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のりこ・カウンセルは 「秋のケーキ」をコーチャといっしょにお出しします。
そうそう きょう かまきりが 玄関の戸を あたりをうかがいつつ のぼっていましたよ。かまきりは 未来派ですね どうやら。命がけの未来派。
のりこ・カウンセルは昔を掘ることに 夢中。しかし このかまきりの命がけには 脱帽ですよね。