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けったいなアメリカ人

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「けったいなアメリカ人」米谷ふみ子著 集英社

ミラー・メイラー会談傍聴記 つづき

 メイラーも文句を言い出した。
「僕も彼とは話をしないことにしてるんだ。マリリンの本を書いたとき、彼は "お金が欲しかったからこの本を書いたのか?" と聞きやがったんだ。だから、長い長い説明をしたんだよ。だけど、放映は六分間だけ。それも、僕が吃りながら、 "ちょっと説明させて貰わわないと" と言ってるところを除いて、肝心の説明を全部カットしてしまったんだ」
 こういうふうにして、二人はディックを牽制(けんせい)しているのだ。
 トイレから戻ってきたジョシュがミラーに訊いた。
「バスルームにいろんな本のカバーが貼ってありましたけど、あの中に『癇癪老人日記』がありますね。谷崎潤一郎をお読みになりましたか」
「谷崎は大好きです。カンヌの映画祭でね、日本から『鍵』(1959年・市川崑監督)が出てたんですわ。僕は審査員やったんでな、票を入れたんですが、僕だけやったんや。僕は全員の前で立ち上がって『鍵』のために一席ぶったんやが、あきませなんだ。次の日にはな、ホテルの僕の部屋ににっぽんの映画会社から大変な贈りもんが来ましてんで、へえ。日本人は、誰にでも贈りもんをすんのが好きなんやなあ。谷崎は偉大な作家やと思います。

***

ミラーのトイレの壁はおもしろそうですね。
谷崎潤一郎の『癇癪老人日記』谷崎ファンの夫セイに聞いてみまっせ。
もうしんどいから 本はだれかが読んでたら充分と 思てます(いかんか)。
カンヌ映画祭で谷崎の『鍵』に ミラーは一票を入れたんですね。ところが入れたのはミラーだけやったと。審査員ミラーはそこで一席ぶったそうです この『鍵』について。
その一席がどういうものだったんでしょうね。そこが聞きたいですね。
あとでミラーに日本の映画会社から贈りもんが届いたそうですが。
「日本人は誰にでも贈りもんをするのが好きなんやなあ」
こう思われてるんや。たしかに。でもミラーの一席にみんな感動したんやと思いまっせ。

マイク・ウォレスはミラーにもメイラーにも嫌われましたね。こんな質問大概嫌われるからマイクも知ってるうだろうけど どういう人やろ? いえね 知りたがりに思われそうですけど ぞくっぽいことでもいろいろと 視聴者をつかむためなんかなあ。その六分間で肝心なことが(これは聞かれた側にとって)入ってない 人ごとでなんですけど ちょっと半分笑ってしまいました。 きっと六分間というのは きまりなんでしょうね そのところにどういうのを入れたいのか マイクはどう答えるのか。マイクをインタビューせなあきませんな。


ええっと ノリコ・ミラーは みなさんお好きですか。そうですか 大好きということにして はじめますね。
ふむ これは「ニンジンをたべなさい」歌のタイトルのようですね。
さあ歌って下さい。わたしがきいてますから。



《 2017.07.03 Mon  _  1ぺーじ 》