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けったいなアメリカ人

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「けったいなアメリカ人」米谷ふみ子著 集英社

ミラー、メイラー会談傍聴記 つづき

 映写機が回り出した。
「もう手足が不自由であきまへんねん」と言っていたミラーが、やおら座り直した。年とった名優が舞台の外では垂れ流しでも、舞台に立つとしゃんとするように、その表情が活気を帯びて来る。いきなりメイラーそこのけでしゃべり始めた。メイラーは我が身を支えるように、テーブルの端を摑まえたままだ。しばらくはミラーの一人舞台で、あたかも、君のような若僧には判らんやろが、というふうに、「Don't you know?」を繰り返している。
 ミラーにとって、文学のことを話すということが唯一エネルギィーの根源であるかのようだった。
 メイラーが急に赤ん坊のように見え始めた。彼はこの老人と競わず、花を持たそうと大変な努力をしている様子が顕(あらわ)であった。
 ディックが最初の質問をする。
(メイラーに)「ヘンリー・ミラーを初めて読んだのはいつですか?」
メイラー 「1940年、ハーヴァード大学に在学中だ。彼の肝っ玉を憎んだな、とてもよく書けていたのでね。まだ僕は17歳だったんだ。とても競争意識が強かった頃でね。世界一の作家になりたいと思っていたんだ。その頃は、少しも上手に書けなかったんだがね。どいつにも負けてはならないと考えていた。
だからミラー氏がもうあらゆるセックスを経験し、そしてそれを見事に本に書いていたということが、何も知らなかった十七歳の僕にはとても憎い位羨ましかったんだ」
 メイラーは弾丸が機関銃から発射されているような速さで喋る。ミラーは、メイラーの話のひと区切りごとに「イズ・ザッツ・ソウ(そうだったのか)」と、合いの手を入れる。

***

「Don't you know?」「君のような若僧には判らんやろが」
あちらの人の言葉を聞いてますと「You know」とか よく入ってますよね。
「ご存知でしょうが」ぐらいなことなんですかねえ。「I don't know」「しらんわそんなこと」なんてことにはならないんでしょうね。
メイラーは 17歳の頃 このミラーの本で うまく書けてるなあと思ったんですね。
ふみ子さんは 「こんなはなし もーええわ」と。

「イズ・ザッツ・ソウ」「そうだったのか」
合いの手というんですね。

ちょっと つづきもんドラマじゃなくてインタビュー ちびちびやるな?
でしょうね。 ちびちびノリコ・リーですんません。


ノリコ・リーの部屋です。まいどミラーさんの前座をつとめさせていただいております。
前座というのは リーさんのまえに ちょちょっと やらせてもらうんでしたかねえ。

ま とにかく ウルトラマンをはじめ かめやらかえるやら 何考えてるんでしょうね。

そうそう細川貂々(ひそかわてんてん)の「てんてん手帖」講談社のなかに 「セルロイドの人形の巻」というのがあるんです。
何の話?といつものようにいきたいところですが 実はね 今は数少なくなっているセルロイド玩具を作っている 平井玩具製作所の平井英一さんという方がいらっしゃるのだそうです。セルロイドのミーコちゃんを このひとは いつもお出かけの時 連れて行くんだそうです。変な人に思われそうですが そうではありません。理由はつぎのはなしにいかなくてはなりませんので いずれまたということで。

で この今日の写真のなかのウルトラマンは きっと セルロイドかも。 えっ それだけ? そう 「Don't you know?」

ふろく わたしは「ほそかわてんてん」のことを ずっと「ほそかわねいねい」と言っていました。きょうはじめて「てんてん」だとわかり 「イズ・ザッツ・ソウ」ほんま 


《 2017.06.20 Tue  _  1ぺーじ 》