「ナマリの兵隊」文 ハンス・アンデルセン
舟は、もう、運河のすぐそばまできてしまったので、とめようもありません。かわいそうに、ナマリの兵隊は、できるだけ、からだをしゃちこばらせました。かた目をパチクリさせたとしても、おおめに見てやらねばなりますまい。
舟は、三四ど、くるくるまわったかとおもうと、船べりまで、水でいっぱいになりました。もう、しずむよりしかたがありません。
ナマリの兵隊は、くびまで、水につかりました。
舟は、下へ下へと、しずんでいきます。紙は、ますます、くにゃくにゃになりました。水が、すっぽり、ナマリの兵隊のあたまの上に、かぶさってしまいました。
そのとき、ナマリの兵隊は、もう二どとあえないかもしれない、あのきれいな、かわいらしい踊り子のことを、おもいだしました。
そのとき、耳のおくで、こんな歌がひびきました。
「すすめ、つわもの、いざ、すすめ!死が、おまえをまってるぞ!」
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なんだか もう読んでみるだけで ほんとうに名作ですね。
えっ もう 動かされました ほんとに。だから打ってみることだけにします。