「ナマリの兵隊」 文ハンス・アンデルセン 訳光吉夏弥 岩波書店
つづき
さて、それから朝になって、子どもたちがおきてきて、一本足の兵隊を、まどのへりに、立たせました。
すると、小鬼のしわざか、それとも風のせいか、いきなり、まどがさっとあいて、ナマリの兵隊は、三がいから、まっさかさまにおちました。
なんて、ひどいおちかただったのでしょう!ナマリの兵隊は、足をまっすぐ上にむけ、ぼうしを下にして、鉄砲をしき石のあいだに、つきさしてしまいました。
女中と、男の子は、すぐにナマリの兵隊をさがしに、下へとんでいきました。そして、もうすこしで、ナマリの兵隊をふみつけるところでしたが、それでも見つかりませんでした。
「ここですよ!」と、ナマリの兵隊が、ひと声さけびさえしたら、すぐに見つかったでしょう。けれども、ナマリの兵隊は、軍服をきているてまえ、そんな大声をだしては、みっともないとおもいました。
***
そうだったんですね まっさかさまにね
「ここですよ!」と、ナマリの兵隊が、ひと声さけびさえしたら すぐに見つかったはずなのに
ナマリの兵隊は軍服をきているてまえ みっともないと だまっていたんですね
せつないです
「ここだってばぁ!」そういえないところがね
そとで からすが 数羽 ないています
もんくをいってるみたいにね
で ナマリの兵隊とからすたちとは これが ちょっと 遠慮のしかたがちがうんだなぁ
いえない人の 美学って こういうところにあるのかなぁ