「ナマリの兵隊」 文ハンス・アンデルセン 岩波書店
つづき
ところで、そのなかに、ふたりだけ、じっと、じぶんの場所をはなれないでいるものがいました。それは、一本足の兵隊と、かわいい踊り子でした。
踊り子は、あいかわらず、つまさきで立って、両手を上に上げていました。
ナマリの兵隊も、おなじように、一本足で、しっかり立っていました。そして、ちょっとのまも、踊り子から、目をはなしませんでした。
そのうち、時計が、十二時をうちました。それといっしょに、かぎタバコの箱のふたが、ポンと、あきました。けれども、なかにはいっていたのは、かぎタバコではなくて、小さな黒鬼でした。それは、びっくり箱だったのです。
「ナマリの兵隊!」と、鬼はいいました。「そんなに、じろじろ、見るもんじゃないぞ」
けれども、ナマリの兵隊は、きこえないふりをしていました。
「ようし!」と、鬼はいいました。
「朝になってみろ!」
***
小さな黒鬼は「ナマリの兵隊!」「そんなにじろじろ見るもんじゃないぞ」とおどしにかかったのですかねえ。
「ようし!「朝になってみろ!」小さな黒鬼はなにをいいたいのかしら?
十二時になると かわるんですね
私のアトリエでは なにがおきるのかしら?