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ちょうとり
その後いかがおすごしですか １９９６ NEKO美術館発
大阪の 豊田のおかあさん おとうさん
その後 いかかおすごしですか
「とっちゃん あらたまってどうしたのよ」おかあさんは
きっとそういうだろうな
「とっちゃん いっしょにおとうさんのチョウとりに つきあってくれない？」
チョウとり？ たしかに私は こどものとき チョウを追っかけたことはありますよ
でも おとうさんは 鼻の傍にほくろのある 少しおじいちゃんだし
おかあさんは 一回り位若い 同じ職場の女性
面倒見のいい人 面倒を見てもらう人 私は後ろの方
でチョウの話に戻りますが そこはキャベツ畑でもなく
牛のうんちもころがっている訳ではなく
そういうところに あんがい チョウはよくいるんですよ
ここは淋しい原野 むこうには林があり
チョウは いっこうに来ない
でわたしと おかあさんは 手作りのおべんとうをいただく
聞いておけばよかったことがあります
おかあさんは 大陸のどこでくらしていたの？
戦後引き揚げてくるときの話は 船の中での話で終わっていて
若い私は それ以上のことに興味がなかったのです
「そこはねえ 一年中暖かい所でねえ」
そうもいってましたね
「わたしは 電車でも狭い所が苦手なの」
膝が痛いのは さぽーたーが みえてたから 充分わかりましたよ
痛いと言いながら どのぐらい 歩いてたの？
知らないことがいっぱい
で いまは あちらにいるんだ
この絵は 何回かNEKO美術館でアップしています
忘れてはいませんよ
なんどでも私の話 聞いてくださいよ
そうだ 「一年中暖かい所で」チョウが結構いたんだ きっと
《 2017.03.18 Sat _ え 》