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春さき
わたしでいいですか ２０１７ NEKO美術館発
わたしの田舎は兵庫県です
へびはよく見かけましたよ
石がけのすきまから 春になると顔をだしたり
学校の行き帰りにも 草むらや 道の真ん中に丸まっていたりもしました
神社の石がけには 片目のつぶれた 太くて大きなアオダイショウがいて
もう神聖な感じで ゆっくりと横切っていようものなら
立ち止まって おそるおそる じっと見たものでした
今は こどもらも近くの小学校や中学校に通ったし
車での移動で 歩いて遠くまで行くということは
なくなりましたね
あきらかに 学校までの距離は 今では車のはんちゅうでしょうね
わたしたちは その上に戦争中や戦後の時代に育った人々がいます
父母や兄たちです
彼らに比べると わたしたちはとてもぜいたくで
１時間やそこいらの道を歩くことなど 問題じゃないのです
でも 最近 「遠かったよなぁ」と思います
秋や冬だと 夕暮れは早く そのながい通学路は
「さびしくて こわかったよなぁ」と思います
でも あのなんともいえない 暗い景色
「これはあそこでしか味わえなかったなぁ」
そう思います
舗装されていない道を 歩いて 母と買い物にいったこと
学校よりさらに遠くの神社の お祭りは 前の晩 寝付けないほど
楽しみだったこと
それは やっぱり
やっぱりなんなの？
さあ
《 2017.03.15 Wed _ わたしでいいですか 》