「セザンヌの手紙」
某画具商人宛 エクス、1906年10月17日
貴店に絵具ラック・ブリュウレ第7号十個の注文を発してより既に8日になるが、未だに何の音沙汰にも接していない。どうしたわけでしょう。
草々
何卒ご返事のほどを。
ポオル・セザンヌ
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これが最後の手紙になります。
長いこと外で濡れ放題にならなければ その翌日ヴァリエの肖像を描きに 庭の菩提樹の木陰に出かけさえしなければ セザンヌはもう少し長く生きられたかもしれません。
しかし いかにも「最後まで絵を描く」といったセザンヌらしい最後でした。
そこまで絵にかけられる この画家をうらやましく思います。
「わたしは、年寄りに比べて春かに理解力豊かな若い画家たちを信頼している。年寄り絵かきどもは、私を敗敵と見放しているに過ぎん。ではー。」
こんなところを読みますと その後多くの若者を刺激した セザンヌを「おめでとう!」といいたくなります。
もうおわりにしなくちゃ