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ミヒャエル・エンデ

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「ものがたりの余白」ミヒャエル・エンデ エンデが最後に話したこと

素潜り(すもぐり)する病室の隣人

エンデ (この病室で)はじめは2人部屋だったのです。はじめの8日間は、このF地方(シュトウットガルト市南郊)の年老いた農夫と相部屋でした。
 そのときはとっても奇妙でね。なぜかというと、まず....、ご存じかもしれませんが、
シュバーベン方言というのは、シュバーベンじゃないと、ちょっとわかりにくい言葉なんです。

ーたしかに、そうですね。

エンデ ところがこのあたりの農家の人たちは、それにもう一つ輪をかけたシュバーベン方言を話しますから、シュバーベン人ですらわからない。(相部屋の)農夫のシュバーベン方言には、さらに二つの種類がありましてね。歯があるのと、つまり入れ歯があるのと、入れ歯がないものとの二つなんです。隣の人は、日中はなかなか静かにしているのですが、夕暮れになり、浴室で入れ歯をはずすと、突如、わたしと話したくなる衝動を覚えるようでした。
 それは奇妙な言語で、なんというか、つまり、
「ホイッシュ!ナン・ナン、フュフュ、トリギキッチレ!」
といったおかしなものなんです(笑い)

ー(笑い)

エンデ わたしは、なにか自然音を発して、その場をごまかしていました。「フン・フン、そうそう」とか、「ああ、ウーム・ウーム、うん・うん」といった音。
 たいていは、正しい応答をわたしはしていたようですが、しかし、時には間違ってしまったらしく、すると、ジロリと、向こうからわたしのほうをにらむんです。

ー(笑い)

***

ドイツでしたか シュトウットガルト市郊外は。
エンデの病室での隣人はその地方の農夫で 昼間は静かにしてるんだけれども夕方になって入れ歯をはずす頃 「ホイシュ!ナン・ナン、フュフュ、トギキッチレ!」と唱うんじゃなくて 言うんですね。

エンデがどういう病気で入院していたのかわからないまま ぽっと開けたページを読んでいるのですが わたしはこういう読み方が好きなんです。(迷惑だなぁ)
エンデが適当に相槌を打っていると 彼はジロリとエンデを見るのですね。

適当にしか相槌を打てないんでしょうが いいですねぇ。
わたしも外国の人とお話をする時には そうしてみようかな。

イギリスに行ったときの話しですが わたしは駅のベンチにこしかけているおくさんに
あいさつしたんです。そして「子供さんはいらっしゃるのですか」と聞いてみると すらすらと「ひとりはアメリカにいてね」と話はまるで世間話になっていったんです。わたしは「うん うん」と相槌だけ打って結構長いことはなしは一方的に進みました。彼女はおばあちゃんというよりは私と同じくらいの年格好でしたね。そのうち電車が来て はなしはとまりましたが なんだか気心が通じたようで かたもこらずよかったですよ。

よく夫が「おまえのいっとることは わからんわー」といいますが わかってもわかってなくとも 聞き流すことができないというのも 不便なものですよ。

    *

そうそう忘れちゃいけませんぜ。NEKO美術館です。
このたたみ どちらで手に入れたんでしょう。いただいたのかもしれません。
菱形です。 このカエル氏ずいぶん困った顔をしていますが このたたみの存在にぴったりではないですか? もうこのたたみがあるだけで なぜだか 景色はきっちりしてしまうのです。
かたやむかって左の 鳥らしきものは あおい目をしていて 私の作としては気に入ってるんです。これをおきますと芸術の香りが(かってにすすめるなよ)。

この三作の 微妙な空気感 もう他の例は無いと思うな わたしの持ち駒では。

おそれいります
《 2016.09.02 Fri  _  これくしょん 》