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おかみさん

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そのお店は なくなっていた  NEKO美術館発

大阪に住んでた頃のはなしです
わたしは そのなんでもやさんに よく行っていました
いつも 笑いながら世間話をしていました
彼女も子だくさんで 女の子ばっかりだったかな

店先で お好み焼きを焼いてたりもして
わたしは夫と月6000円のアトリエでそのお好み焼きを食べたものです
今から考えたら 彼女は よくしゃべって 商売もうまくて
店から出ると わたしまで元気になってるんですね

世間話って ちょっとしただんなの悪口だって
娘のことだって あんなに笑わせてくれた人は少ないですね

ある日 彼女に「ちょっとだけ描かしてよ」といいました
「そいじゃあこのままじゃまずいね」と鏡の前でお化粧を
ぱたぱたはじめました
店のおかみさんは そして子だくさんは もうぱたぱたですよ
それが わたしの描きたいところだったりして

そのころ けっこう出会ったおじさんとか 「ちょっとおねがいします」
なんて描かせてもらいました
緊張もしますが 相手の人も緊張します もっとね

おかみさんは彼女にぴったりの やさしそうなだんはんで
その絵を個展に出したとき 見に来てくれました
「いやー」とてれくさそうに小さくなって「はずかしい」といいました

「こんな顔をかきたかったんです」
「こんなふうに描いてほしかったんです」
そうはきっとならなかったでしょうね
「すんません」
それでも
「こんな顔を描きたかったんです」



 

《 2016.08.26 Fri  _   》