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ピカソとその周辺

ピカソとその周辺 フエルナンド・オリヴィエ著 佐藤義詮訳 昭森社1964


「ルーヴルの盗難事件」つづき

 判事は時効にかかっているという判決を下したので、事件は免訴となった。実は国事犯とされているこの種の犯罪には、時効は存在しないらしいのだが。
 遂にこの事件もしばらく経つと、けりがついた。しかし長い間ピカソとアポリネールは、尾行されるものと思い込んでいた。ピカソはもっぱら晩にタクシーでしか外出しようとせず、その上、「尾行」をまくために幾度も車を乗り換えたものだ。
 彼らはまるで子供のように振る舞った。免訴と決定して安心すると、子供のようにその苦しみをけろりと忘れてしまった。彼らはこの波乱に富んだ時期から、ただ滑稽な思い出だけを胸の奥にしまったのである。
 しかしアポリネールの多くの友人たちは、しばらくの間一向に音沙汰をしなかった。巻き添えを食うことを恐れていたのだ。
 ところが、サルモン、アンドレ、テュデスク、ルネ・ダリーズは、種々奔走をし、友人のために多数の署名をさえ集めた。
 ギョームを「ソアレ・ド・パリー社」に入社させて、大いに彼のためを計ってやったのは、当時その雑誌に勤務していたアンドレ・ビリーだったように覚えている。しかし彼ら弁護に断乎たる決意を示したジョゼ・テリー以外には、かわいそうなアポリネールは、不幸中ほとんど誰にも訪ねてもらえなかった。マリー・ローランサンに、大変世話になっていた彼に、短くても愛情のこもった慰めの手紙を書かせようとしたのだが、彼女を承知させることはどうしてもできなかった。

***

これで「ルーヴルの盗難事件」はおしまいです。
ルーヴルでこういうことがおきると 大変なことですね。
そしてピカソとアポリネールはこの事件にけりがつくと 本当に子供のように安心したようですね。
だれでも こういう事件に巻き込まれると 尾行されてやしないかとか おどおどしてしまうものでしょう。いろんな人が登場してきましたね。2人関わりを持ちたくないと思うもの、彼らのために署名を集めるもの。マリー・ローランサンはかって恋人だったアポリネールに 慰めの手紙を書かなかった。そうさせようと努力したオリヴィエは優しい女性ですね。わたしなら?まっさきに逃げてるかなぁ

さいならさいなら


《 2016.08.10 Wed  _  1ぺーじ 》