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ヨーロッパの旅

フーフー通信 交野日記
ヨーロッパからの手紙 1985 夫

 ナザレに来て五日がたちましたが、こちらに来てからというもの、何となく気分が晴れません。その理由の第一は、足の痛みがいっこうにとれないことからきています。
Uさんはここでの取材(彼はこのナザレでの前回の滞在で、この地の民族衣装を着た人々の絵を描き、それが最近売れ出しているので再度カメラでもってパチパチと写真をとりまくっています)のため、僕の足の回復を考えてくれてホテルを十日間予約してくれたのですが、僕としては少しの散歩と、ホテルとカフェでぼんやりしている毎日です。実際、この左足の時に持病であったのかと思うくらい、歩きだすと痛みだし、うっとうしい気分です。ナザレのことは旅行に出る前からUさんから何度も聞かされ、僕も期待を持ってきたわけですが、こんな僕には、もう一つその感激も薄いのです。でもこんな晴れない気分のことばかり書いていてもつまらないので、この町で眺めたことを少し書きましょう。
 ナザレは、リスボンから急行バスで二時間ほど北上した海辺の町です。もともとは小さな漁村だったと思うのですが今ではポルトガルでも有数のリゾート地になっているらしく、シーズンオフの今でも、日に何台かの観光バスが外国の観光客を乗せて町に入ってきます。たしかにヨーロッパの都市の堅牢な石造りの街街から、この海辺の陽差しの明るくて、なんとなく素朴な人と町のあるこの地へやってくれば、気持ちもゆったりするのでしょう。そういう意味では、僕のようにはじめてこの町を訪れるものにとっては、旅行のしょっぱなからこの土地に来たのでは、この町のよさもありがたさも充分伝わらないのかもしれません。そう思うと、旅にもそれなりの順序があるのでしょう。

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旅にもそれなりの順序があるのでしょう。
そうかもしれません。ナザレの漁村のゆっくりした素朴なところは 街の騒々しいところから来ればほっとするのかもしれませんね。

それにしても夫のように足が痛かったり 調子を崩していたら 外国にいても しんどいですね。日頃は 外国旅行のように バスや徒歩であんなに移動することはないでしょう。足だけでなく 息切れがしたり いい景色なのに坂道を歩き続けるとなると ほんとうに苦しいこともあります。

それに旅行前にお金をかせぐのに 一生懸命働いたのも 疲れる原因だったかもしれませんね。

つづきはいずれまた

 


《 2016.04.24 Sun  _  思い出 》