『こんちゅう稼業』 秋山亜由子 青林工藝舎 です。
これは漫画です。平安時代の鳥獣戯画が漫画になったらこういうふうになるんじゃないかと、私は思うんですが。 一遍一遍のタイトルもこんなかんじ。
虫ん子 昆虫稼業 虫目検校 ミノムシの結婚 むしんこ村 平茸坊主 虫の神 へくそだま うぐいすの里 蝶の道行 四十九日 つくも神 十三夜 ピーちゃん
あの世とこの世を行き来する物語たち。 最初はなんのこっちゃらわかりませんでした。
ところがこのうつくしい筆致(あんまり難しい漢字をつかったので、これであってるのかどうか)に導かれて、わたしまであの世とこの世をさすらう旅人になってしまいましたよ。 登場人物は虫です。 虫たちが古典を演じるというか。 「ピーちゃん」なんかは人間もでてきます、はい。 ねこや鳥も出てくるな。 ものの哀れ(これもわたしにしたら高級です)がこんなに深い表現で見せられると、じわーっときます。 この作者はやがて源氏物語や鳥獣戯画をライフワークにするんじゃないでしょうか。(いいかげんなことを) しっかりしたことはわかりませんが、この人の作品は少ないです。 『虫けら様』と『こんちゅう稼業』がわたしの知っているものです。 ほんとうは自分だけの秘密にしておきたかった、なんてこと云いたくなる一冊です。