2016.06.18デザインのこと

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なにこれ、なにこの汚さ。
猫がいるけど、一瞬わからん。

これが、デザイン期間中のわたしのデスク周りです。
過去のデザインの生地替えをすることもあるので、前の資料をひっぱりだしてきたり、釦のブックや生地のスワッチやサンプルの服や、そして休憩したらコーヒーのマグカップやチョコレートがスワッチの下に隠れていたりします。
携帯はもはやどこにあるのか、わかりません。

ここ数週間、追い込みにはいっています。生地屋さんに新作を見に行ったり相談したり、年間の製作スケジュールを考えながら洋服やバッグの企画書を1枚ずつ仕上げていきます。
ブランド立ち上げのときはサンプルは自分で縫っていましたが、わたしの場合、縫える範囲でデザインを考えていくとすごくデザインの幅が狭い。そしてパターンも自分で引けるもので考えていくとますます、狭くなるので、アトリエナルセはパターンは信頼しているパタンナーさん(数名)に引いてもらっています。そして縫製はサンプルも実際に量産をしていただく工場さんで作ってもらいます。サンプルの段階でいろいろと調整してもらい、量産しても縫いやすいかどうか、個体差が出にくいかどうか、などを見てもらうにはこの方法が一番良いのです。
ただ、サンプルを縫ってもらう縫製工賃はとても高額。そしてパタンナーさんにお願いするのも、やっぱり高額。そして新しいデザインは何度も修正することもあり、1stサンプル、2stサンプル、3stサンプルまでいくこともあります。そして最後に各色サンプルと縫製見本のサンプル。サンプル代だけでなんぼかかるねーん。となります。
でも、サンプルの段階でしっかりと煮詰まっていると量産のときに失敗が起こりにくくなります。
が、とはいえ、毎シーズン、ほんとうにいろいろとトラブルはあります。トラブルがないことは、まずありません。

なので、この企画書の段階でいろいろとしっかりとつめて考えなくてはいけません。最初にこけると、最後まで問題が続いていく。ということがよくあるのですね。

とはいえ、デザインを考えるときはそういった問題はとりあえず横に置いて、どんな服を着たいか。その着たい服を着る自分(そしてわたしの向こうにいるお客さん)は、どういう暮らしをしているか、考えをもっているか、楽しい気持ちになるには、そして着心地がよく、元気がでる、家の中にいても着やすいものか、毎日着たくなるような服ってどんな感じ・・と、いろいろと考えをめぐらせ、その季節に欲しいなと思うようなものを考えます。
このときの自分は、どちらかというとデザイナーの自分ではなく、子供がいる母で仕事を持つ人で、スーパーにも毎日いく、ふつうの暮らしをする自分です。その自分の向こうに、わたしとどこか似ている感性や同じ感覚を持って暮らしている人がいるだろう。というふうに考えます。
でも「ふつうのわたし」は、ときに今の世の中のブームでもあるミニマリストの、少ないもので暮らすという時代の影響も受けたりもして、これ以上新しいものなんていらないんじゃないの。今までの服の中で繰り返し大事に着るということのほうがしっくりくるのだけど。という思いもあります。
朝日新聞で記者をしていた稲垣えみ子さんみたいな暮らしに、どこか憧れなんかもあります。

でも、作り手としての目線はやっぱり新しいものが作りたくなります。ああ、いいこと思いついちゃった。という発想を形にしたくなります。ふつうのわたしと作り手のわたしが相談しながら、企画を考えます。

なにかを買うって、なんだろうなあ。と思います。それでも、生きていくということかなあ。
生きていくなら、できるだけ楽しく生きたい。自分が楽しく生きていると、周りの人達もしあわせになるだろうなあ。と、思うのです。

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庭の紫陽花がどんどん花をつけていきます。少しだけ切って家の中でも飾りました。でも、すぐに元気がなくなってしまうのでしっかり水を吸わせた後は、別の場所で土に直接ぐさっと挿しておきます。紫陽花は意外と根をはりやすいですね。
去年ぐさっと挿した紫陽花も根付き、まだまだ小さいですが花をつけ始めました。

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ラズベリーもどんどん食べごろ。庭の水やりしながらつまみぐい。とてもおいしいです。みんなにすすめるんだけど、わたしが多分一番おいしいといって食べています。

デザインのことを考えながら、家事をしたり、子育てしたり、庭の水やりしたり、父の日の買い物をしたり、いろいろありながら前へ進みます。デザインに集中したいぜ。と思うけれど、いろいろしながらのほうが、ふつうのわたしの欲しいものが見えてくるのですな。