2024.12.06
DARUMA × atelier naruse 2024 | ボスコというカーディガン
12月になりました。
今年もつくりました。「DARUMA×ateliernaruse」のコラボニット。
編むひとにも、編まないひとにも届けたい。との思いからはじまった、こちらのコラボ企画も今年で5年目。
いままでの作品たちを掲載したパターンブック『ワタシは私の時間を纏う。』が12/6(金)にダルマ糸さんから販売となります!拍手!!
書籍のこと、ムービーのことはまた長くなりそうなので、別の機会にある日のハナシのシでも書きたいなあと思っています。
今回はこちらの新作のアウターニットカーディガン「bosco~ボスコ~」について書こうとおもいます。
na-da13 DARUMA × atelier naruse|hand knittedroving outer cardigan ~bosco~| gray
na-da13 DARUMA × atelier naruse|hand knittedroving outer cardigan ~bosco~| brown
size. 【F】
着丈64 / B150.5 / 裄丈82 / 袖丈32 / 袖巾22
※手編みのため多少の個体差があります
material. 100%wool
price. 60.500yen(66,550yen tax in)
・DARUMA×atelier naruse 特設オンラインストアのページはこちらから→★
「bosco~ボスコ~」
イタリア語で「森林」という意味なんですね。なまえは、いつも夫の早川(アトリエナルセ社長)がつけてくれるのですが、今回もなかなかいいネーミングです。
ボスコは、ちょっとなつかしいレトロな感じ。アトリエナルセの最初の頃の感じ。をイメージしてデザインさせてもらいました。
ダルマ糸さんとコラボし始めてから、手編みのニットに反応するようになってしまって、ある年の夏に実家に帰省したときに、母のクローゼットに手編みのセーターがたくさんあって、びっくりしつつも、そういえば!とおもいだしたのです。
母の古くからの友人は、手編みのセーターをよく母にプレゼントにしていました。わたしが一緒に暮らしている頃からそんなやりとりをしていたので、我が家には手編みのセーターがたくさんあったのです。
高校生くらいの頃は、手編みのセーターを見ても、へえ、すごいねえ。くらいにしか思ってなかったのですが、今みるとすごいすごい!と宝の山のようにみえてきます。
母はたくさんあるから、好きなのを持っていってもいいよ。と言ってくれて、1着だけこのニットベストを譲ってもらったのでした。写真を載せちゃおう。
ネックや前立てやアームホール部分がかぎ針編みで、それがとてもかわいいのです。配色もすてきですね。裾の黒い部分はガーター編みになっている。ちょっと野暮ったいんだけど、そこがかわいい。
ボスコの前立て部分がかぎ針編みになったのは、このニットベストがヒントになっています。
この母の友人、わたしがまだ赤ちゃんの頃からのつきあい。家が近所で今でいう「ママ友」だったそうなんですね。母は長野で母の友人は大阪。遠距離だからなかなか会えない。手紙だけの文通友達として、手編みのニットをもらったり、母はなにをおくっているのかわかりませんが(笑)何十年もやりとりしています。
ボスコ、かぎ針で編んだ前立て部分、拡大。
ボタンもつけたかったので、ボタンホールもあります。
ボタンは、アトリエナルセでもお馴染みのメルトンウールのコクーンコートでも採用している、水牛ボタン。すこし野暮ったいデザインにこそ、アンティーク感あるちょっと無骨なボタンがいいバランスになっています。
拡大すると、手編みならではの手触りとか、ざくざくとした凹凸感とかがたまらないですね。さわりたくなりますよね。
今回編んでもらった糸はウールロービングという糸で、コシのある英国羊毛糸。太い糸なのでざくざくとボリューム感がある編み地になります。とちょっと粗野な感じがかっこいい毛糸です。
メリヤス編みとかぎ針のミックスで、牧歌的でやさしいイメージもありますね。
うーん、たまらんですね。
そして、今回は「木の枝」が編み込まれたデザイン。
ここがなかなか難関箇所でございました。描くのはかんたんだけど、編むのはたいへんなんだぞー。の部分ですね。
最初、木の枝の向きがばらばらに配置したデザインだったのですが、これだと柄の出方ががたがたしてしまってむずかしい。とのこと。何度か編地サンプルでトライしてもらったのですが、なんだかガタガタになってしまう。きっと編むひとも、編んでいてすっきりしなくていやだろうなあ。という感じだったのです。
でも整然とならぶと味がなくなってしまう。そのバランスがとてもむずかしかった、と牧野さん。でもさすがですよね。向きは整ったけども、配置のバランス、とてもよく考えてくださいました。上の写真は、柄部分の編地サンプル。
ボスコができるまでに、つくってもらった編地サンプル。
グレイは、前立て部分をモスグリーンにしようかキナリにしようか最後まで迷いました。
袖は、最初は「トリニティステッチ」という編地の予定でしたが、1stサンプルでつくってもらったら、ちょっとごつくなりすぎてしまって、個性がですぎてしまったので、やっぱりやめよう。となりました。
ニットは、編んでみないとわからない。というのがおもしろいところでもあり、たいへんなところでもあり・・。あ、洋服もそうか。1stサンプルはできるだけやりたいことをやってみて、なるほど〜!と勉強する機会でもあります。
でも、こうやって毎回ひとつのデザインができるまでに、編地サンプルを編んでたしかめたり、こつこつと丁寧な仕事をしてくださるのです。
うしろにも、しっかりと柄がはいっています。
編む方は、がんばって編んでくださいね〜〜
そしてわたしがこだわったのは、ぜいたくなまでの身幅!ぐるりで150cmもあります。
アトリエナルセでも機械編みニットのデザインをしているんですが、機械編みは幅に制限があります。あんまり大きすぎると規格外になってしまうので編めないと言われてしまいます。この広い身幅は、手編みならでは。
(※どこかには広巾の機械もあるかもしれないんだけどね)
ボスコは、カウチンセーターみたいな厚手のアウターカーディガン。
身幅も袖幅もゆったりとしているので、セーターを着た上に羽織ったりすることもできます。
おおきめの身幅の服って、横からみたときの背中のラインがとてもかわいいんですよね。ぽこっとふくらむ。
そして、袖のリブ丈がちょっと長いのがこだわり。メリヤス編みからリブ編みになることによって、ふんわりとふくらむ感じがとてもすきです。
前をあけて着るのもかわいい。
着丈も長すぎないから、ボトムスいろいろとあわせやすいのです。
アトリエでサンプルができたときに、牧野さんが試着した時。
わたしの試着写真は、ダルマ糸さんの記事にて。→★
グレイは、牧野さんの雰囲気にとても似合っていました。
ダルマ糸さんでは「編むひと」のために、編図と毛糸がセットになったキットを販売。
ダルマ糸さんからのキット販売はこちら→★
アトリエナルセでは、「編まないひと」のために、編んでいただいたニット製品を販売。
製品は受注生産ではなく、数量限定の販売となります。
ひとつひとつ手編みになるため、若干の個体差がありますが、ていねいにゆっくりじっくりと編んでいただいた製品になります。
たいせつに着ていただける方のもとに届いたらうれしいな。とおもっています。
おばあちゃんになっても着てほしいなあ。
さいごに。
実はダルマ糸さんとのコラボ企画は今回のボスコで、最終回なのです。
もしかしたら、第二シーズンもいつか再開するかもしれないけれど、第一シーズンはいったん最終回。
「編むひと」と「編まないひと」に向けたこのコラボ企画。
なかなかに画期的だったかと思うのですが、「編まないひと」のわたしが考えるデザインは、はたして「編むひと」も満足できるのだろうか・・・というのが、なかなかにデザインを考えるときにむずかしい壁でありつづけました。
ただそれゆえに、とてもとても勉強になった期間でした。
ダルマ糸さんとのコラボニット企画以降、アトリエナルセの既製品のニットや靴下のデザインをするときは、視点がかなり変わってデザインできるようになりました。
手編みでしか再現できないデザインもあるし、反対に機械編のほうが向いているデザインもあるということに気づけた。というのは、とても大きかったですね。
ダルマ糸の牧野さんとの仕事はとても楽しかったし、もっと熱く語りたいところですが、出版される本のあとがきのようなところに、そんな熱い思いを書かせてもらっているので、よかったらそちらを読んでもらえたらうれしいです。
手編みのニットが、編み物をしないわたしもほしい!という、極めて個人的な欲望からスタートしたこの企画。笑
でも、わたしとおなじような「編まないひと」には、とても喜んでいただけたのではないかと思うのです。
「編まないひと」にとって手編みのニットって、ほんとうにあこがれです。編んでくれるひとが身近いる方がとてもうらやましい。そしてなにより、「編むひと」がとてもとてもうらやましい。でも、みんながみんな編めるわけではないのだ。とも思っているのです。
だからこそ、ちょっとおすそわけをしてもらえないでしょうか。と「編むひと」にお願いをした企画でした。
そして、今までのコラボニットの編図が掲載しているパターンブック『ワタシは私の時間を纏う。』ができました。
冒頭にもすこし書きましたが、ちょうど最終回を締めくくる、すばらしいものができたと思っていますよ〜。こちらの話も長くなりそうなので、またこんどゆっくりと。
次回、ある日のハナシのシでも、本やムービーづくりのもうひとつのストーリーを書けたらとおもっています。どうぞおたのしみに〜
atelier naruse × DARUMA
ニットパターンブック
『ワタシは私の時間を纏う。』
定価|¥2,750(税込)
DARUMA STORE、全国手芸店、Amazon にて発売